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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第3章:だから僕と彼女はここにいる
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27-4 ギルドの風物詩

よろしくお願いします。


ギルドのお約束回収回?

冒険者カードを作って貰ってる間にギルド内を見回す。

と、ちょうど外の扉を開けて入ってきた一団と目があったな。


「おっ、ガキがこの時間に来てるなんて珍しいじゃねえか」

「あの受付に居るって事は新規だろ」

「あぁ、それなら先輩として、色々と教えてやらないとな」


うわぁ、なんか物凄くアホな会話をしてる。

面倒だから無視できれば良いんだけど。

と、カード作成が終わったみたいだ。


「お待たせしました。

こちらがソージュ様のカードになります」

「ありがとうございます」

「あと、グラン様とご一緒なら不要かもしれませんが、ギルドでのルールをお伝えさせて頂きますね」

「おう、そういう事なら俺達が教えておいてやるぜ」


うわ、さっきの人達が僕を囲むように来て話に割り込んできたし。

無視だね、無視無視。


「よろしくお願いします」

「はい。ではま「無視してんじゃねぇぞ、クソガキ!」ず、ギルド内での武器及び回復以外の魔法の使用は緊急時を除き禁止です」


左の男が受付カウンターを叩きながら怒鳴るのを無視して言い切ったお姉さんは流石だ。

逆に怒鳴った男は真っ赤になってプルプル震えている。


「武器の、と言うことは、素手での争いは認められているんですか?」

「はい。そもそも、それくらい自力で振り払えなければ、冒険者活動中に死んでしまいますから」

「そう言う事なんだ、よ!」


フッ、パシ


さっきの男が殴ってきたので受け止めておく。

うん。やっぱり昨日の鬼に比べたらかなり弱い。

それにグランさんがくれた薬のお陰か、力が戻って来てる気がする。

そしてそのやり取りを見て、お姉さんもにこにこしてる。

あ、そうだ。これも聞いておかないと。


「ギルド内で争って器物を破損したときの補償はどちらの責任になりますか?」

「はい、基本的には先に手を出した方です。

例えば今の例で言いますと、そちらのチームバッカスギの責任となります」

「なるほど、分かりやすい説明をありがとうございます」


グッ、ミシミシミシッ。


「うぐっ。くそっ、この馬鹿力が。

離しやがひぎゃっ」


パンチを受け止めた手でそのまま握ってみたんだけど、もしかしてこの人、物凄く弱い?

まだ全然全力ではないんだけど。


「くそっ、ガキの癖してなめやがって。

そっちのクソ女もだ。たかが受付の癖にCランクの俺達になめた態度取りやがって。

後で覚えておけよ」


他の男達は今にも武器を抜きそうな雰囲気だ。

はぁ。これ以上は無視してる方が面倒かな。

それにグランさん達が戻って来る前に片付けておいた方が良いよね。

僕はお姉さんに、一言断ってから男達の相手をすることにした。


ブンッ。

「うわっ」どすっ。


あ、しまった。

掴んだ手をそのままに振り返ったら、投げ飛ばしちゃった。

まぁお陰で男達と距離も出来たしちょうどいいか。


「えっと、1つ言っておくと、お姉さんに手を出したらあなた達死にますよ」

「はぁ?!」

「だってあなた達、お姉さんより弱そうだし。

もちろん、僕よりもね」

「なっ」

「ぐっ」


うーん、殺気を込めて睨んだら手前のふたりにおもいっきり引かれたんだけど。

本当にこれでCランクなのかな。

あ、後ろに居る男が武器に手をかけた。もう一人はいつでも魔法を撃てるように準備してるみたいだ。

うん、やっぱり馬鹿だね、この人達。

それと、有り難いことに周りの人達は手を出さずに静観してくれるみたいだ。


「くそっ、てめぇ何者なんだ!」

「今はただのEランク冒険者ですよ。

そう言うあなた方はEランクの僕に手も足も出ないなんて、本当にCランクなんですか(笑)」

「なっ、このガキ。ぶっ殺してやる」

「おい、まて」


えー。

煽り耐性が無いんだろうか。

隣の仲間が制止するのも無視して、さっき投げ飛ばされた男がナイフを抜いて襲い掛かってきた。

同時に後ろの魔導師がバインド系の魔法を僕に掛けてきた。


「死ねや」

「そこまでです」


その言葉と共に、バッとカウンターを乗り越えて跳んで来る受付のお姉さん。

いつの間にか手に持ったバトルメイスで先頭のナイフ男を殴り飛ばすと、そのまま残りの3人も撲殺する。

って、それ生きてる!?

うわぁ凄い、絶妙な半殺し加減だ。

そんな僕のズレた感想を他所に、お姉さんは血の付いたメイスを担いで笑顔で言った。


「チームバッカスギのギルド内での武器及び魔法の使用、更にはギルド職員への罵倒を確認しました。

ギルドルールに則り、ギルドカードの剥奪および排除を実行します」


そして4人の男達の襟首を掴むと、入口の扉に向けて投げ飛ばす。

すると示し合わせたように誰かが扉を開け、馬鹿達は外へと捨てられた。

途端にあがる拍手喝采。

あ、なるほど。これがこのギルドの風物詩なんですね。


年に数回、流れ者で素行の悪い冒険者は粛清されます。

生き残った人たちが逆恨みで用心棒を雇って夜襲をかけようとすると、纏めて畑の肥料になるそうです。

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