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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第3章:だから僕と彼女はここにいる
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27-1 そして始まる新たな生活

よろしくお願いします。


こちらの世界での日常が始まります。


すみません、前後の話の時間軸がずれてしまったので、喫茶店の一幕の内容を微修正してます。

ジバンリン歴35年7月11日


日の出と共に目が覚めた。

ん?どこだっけ、ここ。


「えっと。ああ、そうか」


昨日は夕方に辿り着いた町で宿をとって休むことにしたんだった。

隣のベッドを見れば既にグランさんの姿はない。

あれ、もしかして寝坊した!?

僕は急いで身支度をして、窓を開けて外を見る。

……ん? 町はまだまだ静かだ。

この世界でこの時間に起きるのは早起きの部類に入るんだろうか。

でもグランさんはもう起きているんだから、そっちに合わせるべきだよね。

そう思って宿を出て、裏手の井戸で水を汲んで顔を洗う。

さて、グランさんはどこだろう。そう思って表に回るとメイラさんが居た。


「おはようございます、メイラさん」

「あら、早いのね。おはよう。

グランは、いつも通りもう起きてるわよね」

「はい、もう部屋には居ませんでした」

「あ、それで急いで起きてきたのね。

別に朝食の時間まで寝ていてもいいんだけど……でも、そうね。

当分は一緒に居ることになりそうだし、そーちゃんも朝の鍛錬に行きましょうか」

「はい、お願いします」

「とはいっても、まだそーちゃんの実力が分からないから今日は軽く流す感じで行きましょう」


そう言って軽く走り始めるメイラさんに並んで走る。

最初はジョギングくらいのペースで、そのまま町の外に出るみたいだ。


「グランから聞いた感じだと、鬼達から逃げるだけの体力はあるのよね?」

「はい。でも、僕の攻撃は全く歯が立ちませんでした。

それに、昨日目が覚めてからずっと身体が重い感じなんですよね」

「そう。ならまだ本調子じゃないのかもしれないわね。

じゃあ、少しずつペースを上げていくからキツかったら言ってね」

「わかりました」


その言葉通り、だんだんと速度を上げながら町の周りをぐるっと走る。

ジョギングからランニング、そして短距離走くらいのペースまで。


「はっはっはっ」

「へぇ、このペースなら付いてこれるのね」

「はい、まだ何とか」


若干息が切れながら答える。

メイラさんは息一つ乱していない。やっぱり基礎体力からして全然違うみたいだ。

そして町をちょうど2周してきたところでグランさんが町の外から走ってくるのが見えた。


「やあ、おはよう。そー君も早いね」

「それがこの子、目が覚めたらあなたが居ないから慌てて起きてきたみたいよ」

「あーそうか。そりゃあ、すまない。昨日の内に何時に起きれば良いか伝えておけばよかったね」

「いえ、僕の方こそ聞いておけばよかったんです」

「うんうん、そー君が真面目な子で良かった。

それで、今はふたりでランニングをしていたところかい?」

「はい。町を2周してきたところです」

「なるほど。よし、時間も丁度いいし一旦朝食を食べに行こうか」

「はい」


3人で連れ立って宿のすぐそばの喫茶店に入る。


「いらっしゃいませ」

「朝食を3人分お願いできますか?」

「はい。少々お待ちください」


10歳くらいの女の子が注文を聞いて厨房に居る男性(父親かな?)に伝えている。

店の中には僕ら以外に3組のお客さんが朝食を摂っていた。

朝食の内容としてはパンとミルク、それとサラダとゆで卵が1個出てくるみたいだな。

この辺りに違和感を感じないから、多分前の僕もそう変わらなかったんだろう。

そうして他のお客さんを観察していたら、さっきの女の子が水を人数分持って戻ってきたので、

受け取って皆に配る。


「どうぞ」

「ありがとう」

「皆さんは冒険者さんですか?」

「冒険者兼旅商人でしたっけ」


そう言いながらちらっとグランさんを見ると頷いてくれた。

それを聞いて女の子がほっとため息をついた。


「いいなぁ私も皆さんみたいに強かったら冒険者になって鬼退治に行くのにな」

「鬼退治?」


聞き返そうとしたところでマスターが人数分の朝食を持ってやってきた。


「おまちどうさま」

「ありがとうございます。ねえ、マスター。この地域にはそんなに鬼が多いんですか?」

「そうですね。災厄からこっち、まだ次元が安定していませんで、先月も町から少し離れたところに新たな次元の亀裂が新たに出来たらしく、鬼を含め多くの魔物がこちらに来ているそうです」

「ふむ、また亀裂が発生したのか」


マスターの話を聞いて考えこむグランさん。

それにしても災厄とか次元の亀裂とかっていったい何だろうか。


「あのグランさん。災厄って何ですか?」

「ああ、そうか。そー君は分からないよね。

災厄っていうのはね。発端は今から約5年前に起きた事件で、どこからか次元を破壊して魔神がこの世界にやってきたんだ。

その魔神自体は何とか撃退出来たんだけどね。

問題はその魔神が暴れた影響で大陸中の空間が不安定になって、次元の亀裂が発生するようになったんだ。

影響の大きいところだと空間そのものが別次元とくっついたり重なってしまった場所もある。

一説には空間だけでなく時間軸さえも混ざっている、なんていう人も居るくらいだ。

そしてその別の次元からは、元々この世界にはなかった様々なものが流れ込んできたんだ。

動植物や魔物、先日の鬼もそうだね。他にも僕らと全く同じ外見の人類もね。

友好的なものだけだったら良かったんだけど、残念ながら鬼達のように僕らを獲物としか見ていない者たちや植生を破壊してしまうものもある。

僕は世界中を回ってそういった、この世界を破壊しようとするモノを駆除しているのさ」

「そうだったんですね」

「だから今後頻繁に危険な場所に行くことになるけど、大丈夫かな?

もし嫌であれば、私の知っている元の次元に戻る方法を教えるから、そこまで君一人で行ってくれてもいいよ」

「いえ、足手まといでなければ一緒に居させてください」

「ふむ、そうだね」


そこでグランさんはメイラさんに目配せする。

それに対してメイラさんは頷いて返した。


「今日一緒に走った感じなら、多少の危険なら自力で逃げ切れると思うわ。

それに、鍛えれば十分自衛くらいはできるようになると思う」

「うん。メイラのお墨付きも貰えたことだし、大丈夫だろう。

だけど、一緒に居る間は体を鍛えて普通の鬼くらいは軽く倒せるレベルになってもらうよ」

「はい、お願いします」


僕は改めてふたりに頭を下げてお願いするのだった。

その時はそれが地獄の特訓につながるなんて思いもよらなかった。


災厄については多少話にずれがあるかもです><

特に年代とか。


魔神討伐については、『手当の達人 第2章』にて(書けるかな汗)。

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