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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第3章:だから僕と彼女はここにいる
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25-A 50階層の戦い

よろしくお願いします。


今回はソージュを見送ったリーンさん達の様子です。

Side リーン


世界樹の森。

小さいころに一度だけ訪れたそこは、森人族が住むとともに、蜘蛛型の魔物と植物型の魔物に守られた聖地。

森に認められた者にとっては安住の楽園だけど、敵対する者にとってはまさに死地。


「散開!」


そーくんの声を受けて咄嗟に横に飛ぶと、蜘蛛の糸が槍のように飛んできた。

なるほど、交渉の余地は無いってことね。

本来の世界樹の森ならこちらが敵かどうかを見定められる時間があるはずなんだけど、問答無用で攻撃が飛んできた。

当時と違って魔物たちから感情が伝わってこないことから、そのまんま世界樹の森って訳じゃなく、似せて作られただけと見るべきね。


「なら、攻撃するのに遠慮は要らないわね」


氷弾を周囲に展開して、糸の攻撃を迎撃していく。

よし、糸自体はそれほど、攻撃力は高くはないわね。

そーくんは既に奥へ向かって走っていったし、ミラちゃん達は……無事にフェンリルと対峙出来ているみたい。

エルちゃんは、ミラちゃん達を挟んで反対側ね。

なら私は蜘蛛たちを引き付けて、そーくんやミラちゃん達のフォローをしよう。

そう思ってエルちゃんに連絡を取る。


『エルちゃん、私たちは蜘蛛たちを引き連れてグルっと回って合流しよう』

『分かりましたわ。それでは後程」

『うん』


さて、と。やりますか。

周りを見渡せば、30体近い蜘蛛が私を囲んでいる。


「行くよ!」


周囲に作っていた氷弾を一気に撃ちだして、出来た隙間から飛び出していく。

向こうからもお返しに糸が飛んでくるけど46階層の蜂に比べればまだ楽ね。

よし、無事に包囲を抜けた。

さぁ、追ってきなさい。

ただし、足元は凍ってるから滑っても知らないからねっ。



#######



Side ケイ


全身の体毛が逆立つようだ。

獣人族の本能なのだろう。

神獣と呼ばれるフェンリルを前にして、武者震いが起きる。

なぜか俺たちの周りには蜘蛛が近づいてこないのは、お膳立てされているのか。


「邪魔が入らないのはありがたい」

「はい。無事にソージュ様は奥に行かれたようですし、私たちでフェンリルを抑え込んでみせましょう」

「ああ。ミラ、俺の背中は預ける」

「お任せを」


一瞬視線を合わせて笑いあう。

大丈夫。ミラが後ろにいてくれる限り、俺は負けない。


「グルルルル」

「いざ、勝負!」


俺とフェンリルは同時に地面を蹴って飛び出した。

奴の爪と俺の剣が激突する。


「グッ!」


余裕で吹き飛ばされた。

さすがに力は向こうの方が上か。

奴がニヤッと笑った気がした。だが。

俺の隙を突こうと踏み出したフェンリルの鼻っ面に、ミラの魔弾が突き刺さる。

その時間を利用して俺はすぐさま態勢を立て直し奴の懐に踏み込み一撃をお見舞いする。


「ガァッ」


く、奴の毛は鋼鉄並みか。

全力の一撃が軽く振るわれたように見える前足で簡単に受け止められた。

俺のこの剣では体毛を切ることすら叶わないか。なら。


「『シャープネス』『インパクト』」


強化系魔法を武器に付与して再度切りつける。


「はっ」

ギンッ!


よし!

今度は体毛を切り裂いて、薄く傷つけることが出来た。

だが、そのせいで俺たちへの警戒度を高めたらしい。

さっきまでの単調な動きがなりを潜めて、獣本来のステップを交えた動きから攻撃を仕掛けてくる。


「く、速い」


俺も半獣化して対応するも、なお向こうの方が速い。

スピードもパワーも向こうが上。テクニックでカバーするにも限界がある。

さすがは神獣。今の俺ではまだ敵わないという事なのだろう。


「せいっ!!」

「ミラ!!」


横合いからミラの薙刀が閃く。

それを受けてフェンリルが咄嗟に横に飛んで距離をとった。

ちらりとミラを見ればいつもの笑顔が返ってくる。


「最近の女性は殿方の後ろに控えているだけではダメなのだそうです」

「ふっ、まったく心強い。だが、そうだな。ミラ。共に行くとしよう」

「はい、喜んで」


俺たち2人を包むように闘気が吹き上がる。

さあ、フェンリル。ここからが本番だ!!

そう思ったところで森の奥に光の柱が立つ。

あれは……まさかソージュか?


時々、ケイ達が主人公だったんじゃないかと錯覚してしまうほどのラブラブっぷりです。

次回、今度はフレイさんの閑話を入れて、ソージュの方に戻ります。

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