24-2 方針転換とカキ氷
よろしくお願いします。
7月といえばもう夏ですよね。
僕はみんなを見て言った。
「よし、この件に関しては忘れることにしよう」
「ええっ!?」
「ここまで引っ張っておいてそれですの?」
みんな呆れてしまったかな。
うーん、でもなぁ。
「もっと良くなればいいなって思いはあるけど、話を聞いた限り、生徒も教師も本人のやる気次第な部分が大きいのかなって思ったら、僕達がどうこう言う必要って無いと思ったんだ」
「まあ、確かにな。やる気があるなら既に自分で行動を起こしているだろうしな」
「やる気のない方を鼓舞するのは意外に骨が折れますものね」
「うん、それこそ学生会や学園理事が考えるべき事だしね」
それに、僕としてはもっと気になることもあるし、今はそちらに注力することにしよう。
その為にもまずは情報収集が必要だろう。
そう思ったところで、僕らの前に喫茶店のマスターが注文していた品を持ってきてくれた。
「お待たせ致しました」
「わぁ」
「きれいね」
ガラスの器に盛られたかき氷を見て女性陣から歓声が上がる。
7月に入り、日中はかなり暑くなってきたから今月1日から新メニューとして用意されていた。
ただ、先週は例の肉祭りの影響でそちらを優先的に消費していたので延期になっていたらしい。
カキ氷の味付けは、果汁をベースにしたシロップが基本で、加えて練乳やクリームなどをかけたもの、果肉でトッピングされた物など見た目にもバリエーションがあって見た目も鮮やかで楽しめる。
さらに言うと、この氷の多くは魔法で作られているんだけど、その魔法を使う人によって若干氷自体の味も違うらしい。
ケイは抹茶味で、ミラさんは練乳という、通好みの味付け。エルさんはオーソドックスな黄色いレモンシロップだ。
リーンさんにはブラッドベリーの赤紫のシロップが掛けられている。
「それと、いつもお世話になっているソージュ君にはこちらを」
そう言ってマスターが出してくれたのは、特に何も掛かっていないカキ氷だ。
これは、つまり氷の味そのものを楽しんで欲しいって事だよね。
何だろう。食べてみれば分かるかな。
「じゃあ、いただきます」
スプーンを持って一口食べてみる。
味は……普通の氷よりもほんのりとモモのような甘みがある気がする。
「いかがですか?」
「はい。ほんのりと甘い、優しい味がします。
見た目はただの氷なのに不思議ですね。
キンと冷たいのに、どこかほっとします」
「そうですか。それは良かったですね」
そういったマスターの言葉は、多分僕ではなく隣のリーンさんに向けられたものだと思う。
なにせさっきからリーンさんの視線と動悸が凄いことになってるから。
きっとこの氷を作ったのはリーンさんの魔法なんだろうな。
さて、そんな嬉しいことをしてくれたリーンさんにもお返しを用意しておいたんだけど、喜んでくれるかな。
「さ、リーンさんも僕ばかり見てないで食べてください」
「あ、あははっ。うん、いただきます」
照れ笑いを浮かべてリーンさんは自分の分を掬って食べる。
「!?」
その瞬間、驚いて僕の方を振り返った。
「そーくん、これって」
「はい、マスターにお願いしてリーンさん好みの味のシロップを使ってもらってます」
「はぁぁ。まさかカキ氷とのコラボで一段とあの美味しさが増すなんて思ってもみなかったよ」
そう言いながら、じゃんじゃん食べ続けるリーンさん。
って、そんなにがっついて食べたら。
「っ!?!?」
頭がキーンってなるよね、やっぱり。
「あの、リーン先輩。それ、そんなに美味しいんですの?」
「あ、エルさん。その味付けはリーンさん専用の味付けだから、食べても分からないと思うよ」
「リーン先輩専用……」
「ほら、菜食主義者に焼肉味のものを出しても美味しいとは思われないでしょ。
まぁ僕も焼肉味のカキ氷は食べたいとは思わないけど、要はそんな感じ」
「言いたいことは何となく分かりましたわ。
ですが、こうも美味しそうに召し上がられますと、一口くらい味見をしてみたい……ってもうありませんのね」
「残念だけど、いくらエルちゃんの頼みでもあげられないよ」
いつの間にか頭キーンから復活したリーンさんがドヤ顔で宣言していた。
そうやって僕らがわいわいやってる横では、ケイとミラさんが仲良さげにお互いのカキ氷を分け合って食べてる。
まさかカキ氷に1話使うとは思いませんでした。
そして最初から方向転換です。そういえば、昔もこんなことしたような気がしますね。あの時は竜の山に行ったんだっけ。
一応、この章の中盤か後半で別口から学園改革話が出てきて、この最初のフラグは回収される予定です。




