表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第2章:Sランクの私と彼
130/270

22-10 気まずい時間

よろしくお願いします。


今回はいちゃいちゃし過ぎた反省会?

そーくんをおんぶしながら街に向けて歩く。


「……」

「……」

「…………」

「…………」


うぅ、気まずい。

さっきは思いっきり暴走しちゃったし、今はまともにそーくんの顔が見れないよ。


「…………えっと、リーンさん?」

「ぁぅ、な、なにかな」

「さっきの事ならそんなに気に病まなくてもいいですよ。

誰でもこう、箍が外れる時ってあると思いますし」

「ほんと?そーくん、ひいてない?

『この変態野郎め』とか思ってない?」

「あ、あははっ。そこまでは思ってないですよ」


そ、そこまではって

じゃあちょっとは思っちゃってるんだね。


「はぁ~ぁ」

「ああぁ。リーンさん。

そんな落ち込まないでください。

これくらいのことで、僕はリーンさんを嫌いになったりはしないですから」

「ほんと?」

「ほんとです。僕だって人には言えない事ってありますし、

さっきのだって、ちょっと、その、気持ち良いなって思うところもありましたし。

だからその、お互い様ということにしませんか」


うぐ。

思いっきり気を遣わせちゃってるよね。

年下の男の子にここまで言わせておいて、いつまでもうじうじしてるのは見っとも無い、かな。


「うん、よし。

失敗した分は次で取り返せば良いんだよね!」

「そうです。過去にくよくよせずに未来に生きましょう」

「分かったわ。ごめんね、色々気を遣わせて」

「いえ、元気になってくれて良かったです」

「とは言え、まだ私も本調子じゃないからゆっくり行きましょう」

「はい」


そーくんからもらった濃縮ポーション。

本来なら有り得ないレベルの魔力を引き出したお陰で、私の今の体は魔力的に全身筋肉痛状態。

日常生活レベルの行動なら問題ないんだけど、魔力を使った戦いとなると途端に全身が悲鳴を上げることになる。

そーくんはそーくんで、外傷が結構酷かったし、傷口は塞げても流れ出た血液は回復出来ていない。

それになにより、見た目以上に身体の中がボロボロになっているらしい。

いったい、どんな攻撃を受けたらこんなことになるのかしら。

むしろこれでよく敵を撃退できたよね。


「ねえ、そーくん。

そーくんをこんなにボロボロにするなんて、いったい何があったの?」

「あー、それはですね。えっと……言わなきゃダメですか?」

「だって、次に逃げたそいつが襲ってきた時に、知らないと危ないでしょ」


なぜか目を逸らすそーくん。

言うのを躊躇うような恐ろしい攻撃だったのかな。


「えっとですね。

実は、外傷は確かに戦った相手、ブラッドって名乗っていた剣士に付けられたものなんですけど、それ以外のダメージは別の事が原因なんです」

「別のこと?つまりそのブラッドと戦った後にも何かあったって事?」

「……はい」

「それはいったい……あっ!!」


そこまで聞いて気付いてしまった。

時間的に考えて、敵と戦った後にそーくんがした事なんて1つしか思い当たらない。

オーガキングの腕を粉砕したあの一撃だ。


「そーくん。もしかして、私を助けるために?」

「リーンさんがあの薬を使っちゃったのは僕の方にも伝わってましたから。

僕もあそこまで反動がキツイとは思っても見なかったんです」


本来なら契約精霊を召喚し続けているだけでも、魔力のないそーくんには相当な負荷な訳で。

いったいどれほどの血液が流されたのか。

それを更にあれだけ離れたオーガキングの腕を粉砕する威力で撃ち出したんだ。

作用反作用で考えるなら、そーくん自身が粉砕される程の反動があっても不思議じゃない。

……つまりは、今のそーくんの惨状はほとんど私のせいなんだね。

はぁ。少しは強くなったつもりだったけど、まだまだね。


それから。

夕方になって、先に行っていたケイ君から連絡が入った。


『ソージュ。こちらは魔物の軍勢の最後尾を捉えた。

俺達は迂回しつつ一度街の防衛隊と合流しようと思う』


続いてキーヌちゃんからも連絡が入る。


『旦那様。街の防衛準備は既に整っており、また援軍も既に到着しております。

また、斥候に出ていた冒険者の情報によれば、魔物の到着は早くて明日の未明との事です。

それと冒険者ギルドからの伝言です。

「働きすぎだ。街の防衛くらいは俺達に任せろ」

以上です』


あ、居ないと思ったら一足先に学園都市に戻っていたのね。


「働きすぎだって怒られちゃったね」

「そうですね」

「仕方ないからゆっくり行きましょう」

「はい」


結局、その翌日の昼前に街に辿り着いたんだけど、その頃にはほとんど魔物の襲撃は撃退されていた。

うん、街は無事だったみたいね。


実際問題として、ジルの杖を顕現させ続ける為には相応の魔力(現状ではソージュの血液)が必要です。

さらに満身創痍の状態からの全力投球をした直後にソージュはぶっ倒れていました。


次回は街の防衛の様子をお送りする予定です。

敵側のお話は……今回は無しかな。敵の別働隊が何をしでかしたのかは3章以降で。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ