3-6 試験が終わって
よろしくお願いします。
試験が終わった後。
ケイとミラさんの2人と冒険者ギルドで合流して、昨日のクエストの依頼主の家に向かった。
「あっ、お兄ちゃんお姉ちゃん、いらっしゃい♪」
玄関で迎えてくれたのは、依頼主のミィちゃん。今年で6歳だそうだ。
「こんにちは、ミィちゃん。お母さんの容態はどうかな」
「うん。咳も止まって熱も治まったから、もう大丈夫だろうってお医者様が言ってたよ」
「そっかー、それは良かったね」
そうやって話していると、寝室の扉を開けてミィちゃんのお母さんが顔を出した。
「皆さん。このたびは貴重なお薬をありがとうございました」
「あ、お母さん。まだ寝てなきゃダメだよ」
「そうですよ。病気は回復に向かったとはいえ、身体は弱ったままなのですから。
また顔を出しますので、今日のところはゆっくり休んでいてください」
「わかりました。ではこのお礼はまた次の機会に必ず」
「はい、じゃあミィちゃん。お母さんを大切にね」
「うん♪」
最後に手を振って、ミィちゃんのお宅を後にする。
そこから喫茶店に入って、受け取った報酬で3人で乾杯する。
「無事に元気になられたようで良かったですね」
「うん、昨日クリフ草の薬を届けに行った時はかなり衰弱していたからね」
「ソージュは最初から病気のことを知ってたのか?」
「まあね。クリフ草ってあの病気の治療くらいしか使い道が無いから。
それに、クリフ草の買取単価って1000ジン以上なんだ。
報酬が700ってあったのを見て、なけなしのお小遣いなんだろうって思ったんだよ」
「それであれほど積極的に行こうとなさっていたのですね」
「そういうこと」
「さて、後は俺達3人とも入試が合格しているのを祈るだけだな」
「僕は多分無理なんじゃないかな。剣術も魔術も0点だから」
「これほどの能力があるのに試験に受からないのは、試験自体に問題があると思います」
「まあ、ルールはルールだからね。
それにもし受からなくても、当分はこの街で冒険者として活動を続けていくよ」
「それならどちらに転んでも、今後も会えるということだな」
「それを聞けて安心致しました」
「うん、これからもよろしく。ふたりに会えて良かった」
「こちらこそ」
そう言って再度コップを合わせて解散した。
ジバンリン暦52年3月15日
今日は試験結果の発表日だ。
試験の結果は受付と同じ場所で一人ひとり渡されるらしい。
喜んでいる人、泣いている人、怒っている人、様々だ。
僕は受かってはいないと思うけど、一応結果だけ受け取っておこう。
「おめでとうございます。ソージュさん。見事合格です」
「え……合格、ですか」
「はい。ただ残念ながらランクはEランク。
学園の中ではこちらのバッジを胸元に付けておいてください。
寮は第2男子寮の6階です。
こちらが部屋の鍵になりますので、無くさないようにお願いします。
寮の部屋は今日から入室可能です。
その、出来るだけ早めに入室して環境を整えることをお勧めします」
「はい、ありがとうございます」
お礼を言って受付会場を後にする。
どこか申し訳無さそうにしているのが気になったけど、それどころじゃない。
……合格、出来ちゃったみたいだ。
次回からまた他者視点に切り替わります。
ケイとミラ、学園関係者くらいを考えています。
リーン視点は後ほど纏めて。
視点切替によって、時間が飛び飛びになるので読み難いでしょうか。
ご意見などあれば感想にお願いします。
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次回はソージュの学園での最初の友人ケイの視点でお送りします。
次回:ケイ視点:親友
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