表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第2章:Sランクの私と彼
129/270

22-9 これは治療行為です

よろしくお願いします。


前回までハードだった反動で、今回は砂糖回です。ご注意を。

砕け散ったオーガキングを見て、みんなが私のところに駆け寄ってきた。


「今の何?凄過ぎてびっくりしたわ」

「ああ、まさに大爆発とでも言うべき魔力量だったな」

「あれがリーン様の奥の手だったのですね」


そう口々に感想を言ってくれるけど、さっきの反動で身体中の魔力が空になってしまってるの。

まだ立ち上がる気力も湧いてこない。


「ごめん、ちょっと、待ってね」


いそいそとアイテム袋からそーくん印のブラッドベリーを取り出して口に含む。

ジュワっとブラッドベリーの酸味と一緒にそーくんの魔力が流れ込んでくる。


「ふぅ。お待たせ。

もうこの近くに魔物は居ないわよね」

「ええ、大丈夫ですわ」

「魔物の軍勢とも大分距離が出来ているはずだから、こちらの異変に気付いて戻ってくることもあるまい」

「じゃあ、そーくんと合流して街に戻りましょう。

上手く行けば魔物を前後から挟撃できるかもしれないわ」


私は比較的ダメージの少ないミラちゃんに肩を貸してもらって立ち上がり、さっきの杖が飛んできた方へと向かった。

そこで見たものは。

血塗れでうつ伏せに倒れているそーくんだった。


「そーくん!!」


ふらつきながら急いで駆け寄る。

服が汚れるのも気にせずにすぐ横に膝を着き、そーくんに触れる。

あ、よかった。

小さいながらも鼓動はあるし、まだ生きているわ。

良く見れば回復ポーションで応急処置はされているみたい。

そうしていると、そーくんの目が薄っすらと開いた。


「あ、リーンさん。おはようございます」

「うん。そーくん、身体は大丈夫?」

「えっと、何とか。ダメージの受けすぎと、血の流しすぎでまともに動けないですけど」


そう言ってごろんと仰向けになった。

視界に移ったケイ君たちに手を振ってるけど、無理しなくてもいいのに。


「ソージュ。無理せずまだ寝てろ」

「あはは、うん。思った以上にしんどかった」


そう力なく笑うそーくん。

そーくんにここまでダメージを与えた敵って相当強かったのね。


「そーくん。そーくんをこんな目に合わせた敵はどうしたの?」

「はい、2人居たうちの1人は倒せたんですけど、もう1人はあと一歩のところで逃げられました。

リーンさん達の方は無事に倒せたんですね」

「ええ。そーくんのお陰で何とかね」

「じゃあ、後は街に向かったオーガの大軍を撃退出来れば終わりですね、くっ」

「って、そーくん」


言って起き上がろうとするそーくんを慌てて支える。


「その身体のまま行っても足手まといになるだけだよ」

「そうかもしれないですけど、もしかしたら何か出来ることもあるかもしれませんから。

少しでも近くに移動しておきましょう」

「はぁ。そーくんって時々頑固よね。

分かったわ。じゃあ、街までおんぶしてあげるから、その代わりもう少し休憩してからにしましょう」

「はい、分かりました」


私はそーくんの肩を抱くようにして隣に腰を落ち着ける。

そのまま首元に顔を寄せて……

くんくん、はぁぁ。

こんな時に不謹慎だって分かってるけど、実はさっきからそーくんの血の香りに包まれてドキドキしてる。


(ちょっと、どうして突然空気がピンク色になってるのかしら)

(疲労がピークに達すると急にこうなることもあると聞くが)

(はい、先ほどのあの魔法、心身ともに相当の負荷をかけていたはずですから。気が抜けた反動かもしれませんね)

「ふたりとも。街の事が心配なら俺達が先に行って見てくるとしよう」

「はい。おふたりと違って魔力はともかく身体はまだまだ動けますから。

上手く行けば多少休みながら行っても戦いが始まる前に街にたどり着けるでしょう」

「はぁ、そうね。リーン先輩。ソージュの面倒を頼みましたわ」

「え、あ、うん」


私が何か言う前に、ミラちゃん達はさっさと歩いていってしまった。

もしかして、気を遣われたのかな。

でも、うん。

せっかくのふたりきりだし。

もう我慢しなくて良いよね。


「そーくん。治療しないとだからじっとしててね」

「はい。えっと、何か嫌な予感がしたんですけど」

「大丈夫。傷口を舐めて止血するのは昔からの慣わしでしょ。

それに私の一族の唾液は特に止血効果が高いから安心して。ね」

「いえ、ねって言われても、一応血はもう止まってるんですけど」

「ふふふー。問答無用だよ」


ぺろぺろぺろ。

んん~。流れ出てから少し時間が経っているとはいえ、味は申し分なし。

さっきからずっとそーくんの血の匂いを嗅いでたのと、疲労とが相まって止まらないわ。

もう身体の隅から隅まで堪能しちゃうんだから。


「ちょっ、リーンさん。脇腹はくすぐったいです」

「えへへ、びくってするそーくんも可愛いね」


多分そーくんの血に酔ってたんだけど、思い返すと悶絶するその行為を1時間以上も続けてしまった。

うぅぅ、待ってそーくん。まだ私を見ないで~。


疲れすぎて変な脳内物質が出てたんですね、きっと。

あ、あくまで治療行為の範囲の出来事ですからね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ