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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第2章:Sランクの私と彼
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22-5 ソージュVSブラッド

よろしくお願いします。


今回は別行動をしているソージュの視点です。

Side ソージュ


ミラさんにかけてもらった幻影魔法に合わせて移動する。

この魔法はどうやら自分の周りに霧のように魔力を纏わりつかせて光を屈折させているようだ。

なるほど、だから早く動くと解除されてしまうと。


魔法の具合を確認しながらゆっくりと進んでいく。

目標はダンジョンのある方向より大分東側。

朝の時点であの場所に居たという事は、恐らく彼らは魔物たちに指令を与える為に少し離れた斜め後ろを移動しているはずだ。


……いた!

気配は1つだけど人影は2つ。

僕から見て手前側の人影は完全に気配を絶っている。恐らくこの感じはあの時の剣士だ。

もう一人は彼の仲間といったところか。全身黒ずくめの魔導士だろうか。

(つまり、この魔物の人工上位化や暴走はあの魔導士のせいである可能性が高い)

うん、そういう事なんだろう。

なら今回の接触で魔導士だけでも何とかしたい。

その為にもあの剣士を何とかしないと。

出来ればあのふたりがバラバラになってくれるのが理想だけど、早くリーンさん達の応援に行きたいし、ゆっくりはしていられないか。

それにゆっくりしていたらあの剣士は、姿も気配も消した僕に気付くだろう。

そう思っていたら剣士がこちらに近づいてきた。

まさか、気付かれた!?

いや、そうではないらしい。その視線は僕を見てはいない。

ならただ理由があってこちらに歩いてきただけか。

僕は身を伏せて彼の様子を伺う。

出来れば一息で打ち込める位置まで来てほしいが……

ん?何かに気を取られた?

よし!その隙を突く!!

幻影魔法が解除されるのを覚悟して一気に飛び込んで上段切りを打ち込む。


「セイッ!!」

ギンッ


完全に入ったと思ったのに、瞬間的に抜かれた剣によって受け止められていた。

やっぱり強い。今の僕で勝てるだろうか。


「ふんっ」


受けた剣を力づくで振り抜いて僕を弾き飛ばす。

その力に逆らわずに後ろに飛んで距離を空ける。

さて。


「こんにちは。えっと……あれ。名前なんでしたっけ」

「ようソージュ。なかなかに過激な挨拶だな。

そう言えば前回は名乗ってなかったな。今はブラッドで通ってる」


……偽名(コードネーム)かな。

さてちょっと鎌をかけてみるか。


「ブラッドさんですか。

それでは、ブラッドさん。この魔物の群れを元の住処に帰して貰えませんか?」

「あほ。人にものを頼むときはまず勝ってからにしろ」

「それもそうですね」


魔物は無関係だ、とは言わない、か。

ならやっぱり今回の問題は彼らが仕掛けたとみるべきだな。

今度は向こうが僕に訪ねて来た。


「ところで、グレムリンを撃退したのはお前か?」

「さあ。人にものを尋ねる時は勝ってからにした方がいいそうですよ」

「へっ。それもそうだ、な!」


そう言えば前回もこんなやり取りをした気がする。っと、来るか!


「ハっ!」

ひゅんっ!


袈裟切りに振られた剣を利き腕の方に踏み込みながら屈んで交わす。


「それは……」


剣が横薙ぎに戻ってくるのをさらに横に飛んで避ける。


「前回見た動きだ!」


更に更に避けた僕を追いかける様に突きが飛んでくる。

僕はそこに持っていた杖を地面に突き立てて受ける。


ガッ!


僕の杖とブラッドの剣が激突して鈍い音が響く。

それを聞いたブラッドがにやっと笑う。


「おい、前に会った時よりずいぶん動きが良くなってるじゃねえか」

「それはまあ、前回負けてから僕だって鍛え直したからね」

「てっきり最後の突きは避けられないと睨んでいたんだがな。

その杖、魔法強化処理が施されているのか」

「ええ」


魔法強化処理。

魔石の粉を練り込む事で、強化魔法(エンチャント)を掛けたのと同じ状態を創りだす技術だ。


「それに今の一撃を受け止めたところを見ると、衝撃吸収の魔法まで掛かってるのか」

「いや、そっちは僕自身の技術ですよ。

さて、じゃあ次は僕から行きますよ!」


僕は一歩を前に踏み込みながら、突きを放つ。


「おいおい、そりゃ直線的過ぎるだろ」


言って無造作に振り払おうとするブラッド。

だけど、それは百も承知だ。

僕は突きがブラッドの剣に当たる直前、その流れに合わせる様に杖を回転させる。

そして先ほどとは反対側で払い上げる。

わき腹に入る寸前、戻って来た肘で迎撃された。


「へっ、いいな。久しぶりにまともに打ち合えるぜ。

簡単には死ぬなよソージュ!」

「っ!」


ブラッドが一気に加速してその姿が霞む。

右、いや、左に飛んだ。くっ、後ろか。

更には前後左右から斬撃が飛んでくる。

だめだ、目では負いきれない。

それなら。

僕は目を閉じて空間把握と剣の気配だけを頼りに避けていく。

くっ、直撃は何とか回避出来るけど体の至る所が浅く切られていく。

でも、これならまだ何とか。

ダンジョンで蟷螂数体を相手に避け続けた訓練が役に立ってくれたな。


「おう、これも捌くか。

いいぜ燃えてきた。なら次は強力なやつ行くぞ!」


剣戟の嵐が止んで少し離れたところに立つブラッドの魔力が膨れ上がる。

……あれは流石に魔力強化した杖でも耐えられそうにないな。

だけど大技なら多少は隙が出来る筈。

カウンターを当ててみせる!


「ふっ、カウンターを入れられるもんなら入れてみるんだな!

行くぞ『竜破斬』!!」

「そこd!?」

ズバッ!!


突然全身が金縛りにあった様に動けなくなる。

その原因を考える間もなく、僕はブラッドの放った一撃により杖諸共切り裂かれ、地面に倒れた。




ソージュに最後何が起きたのかは次回。

一応死んではいませんよ。

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