22-2 決戦の朝
よろしくお願いします。
ふと、最近いちゃいちゃから遠ざかってしまったなーと遠い目をしております。
こ、この戦いが終わったら絶対いちゃいちゃしまくるんだ(ぁ
そして。
1万ユニーク突破!! PVももう少しで10万です。
皆様ありがとうございます!!(あとは評価が増えると……)
ジバンリン歴52年6月30日
空が薄っすらと明るく成り出す頃。
いつもの習慣で皆よりも早くに目が覚めた。
「おはようございます、旦那様」
「うん、おはよう。キーヌ。何か問題は?」
「いえ、全く。旦那様が足止めを行っていた魔物たちもまだほとんど移動していません」
「そっか。予想以上に順調だったね。
じゃあ、僕は周囲の偵察に出てくるから、皆をお願いね」
「はい。いってらっしゃいませ」
キーヌに見送られてその場を後にする。
さて、まずは魔物たちの様子を確認しておくかな。
そうして未だに霧が立ち込めてる場所に行き、木に登って上から状況を確認してみた。
「うん、若干霧が広がりすぎて薄くなってるけど、お陰で全体的に右往左往して前進出来てないか。
これなら予定よりも時間が稼げそうだな。
後はあっちか」
視線の先、魔物たちのやって来た方向から、他の魔物たちよりも一回り強い気配を放つ存在が確認できた。
恐らくはオーガキングとかの最上位種。それも2体居るみたいだ。
というか、気配駄々漏れなんだけど、隠そうって気がないのかな。
まあそれだけ余裕ってことかもしれない。
……ん?
一瞬、魔物以外の気配があったような。
気のせい?いや、今回の騒動を起こした犯人かもしれない。
もしかしたらあの時の剣士か。
確認しに行きたいけど、もしそうだとしたら下手に近づくと逆に気付かれる危険性が高い。
一度出直すべきだな。
「あ、そーくん。おかえりなさい」
「ただいまです。リーンさん」
みんなの所に戻るとリーンさんもケイ達も起きて身支度を済ませていた。
「すぴー、すぴー」
エルさんは絶賛お休み中だ。
うーん、朝に弱いのかな。
「いや、ソージュ。時刻で言えばまだ6時過ぎだ。
俺達の方が早く起きたと考えるべきだろう」
「そうですね。寮で寝起きする分には、早くて朝7時、遅い方ですと8時過ぎまで寝ておられますから」
「あ、なるほど。でもそろそろ起こさないとね。
えっと、キーヌ。お願いできる?」
「はい、畏まりました」
流石に僕が起こすのは躊躇われたから、キーヌにお願いする。
キーヌはすっとエルさんの枕元に近づくとやさしく肩をゆすり始めた。
「エリュース様。朝でございます」
「んんぅ」
「お目覚めください、エリュース様」
「すぴー」
一瞬反応したようにも見えたけど、そのまま寝てしまった。
キーヌはどうするんだろう。……あっ、鼻を摘まんだ。
「うごっ。……ぷはっ。な、何事ですの!?」
「おはようございます。エリュース様」
息苦しくなって跳ね起きたエルさんと、冷静に挨拶をするキーヌ。
エルさんは寝起きできょろきょろしてる。
「え、あ……あぁ、そうでしたわね。
おはようございます。キーヌさん、皆さん」
「おはようございます」
「目の前にメイドが居るものですから、一瞬我が家に帰ったのかと思ってしまいましたわ」
若干顔を赤らめて言うエルさん。
あ、そっか。エルさんって本来は王女様だったね。
そういう堅苦しいところがないから、ついつい忘れがちだけど。
そしてエルさんが身支度をしている間にさっき偵察してきた結果をみんなに伝える。
「……なるほど。では、魔物の本隊が街に着くのは明日の朝になりそうか」
「このままの進軍速度であれば、だけどね」
「うむ。ではそちらは予定通り街の警備隊や冒険者たちに任せて、俺達はボスを叩く訳だな」
「ソージュ様の見立てでは、私たちの実力でボスに勝てますでしょうか?」
「その事なんだけど、多分大丈夫だと見てる。
先日のゴブリンキングでも思ったんだけど、今回のボス達もあまり実戦経験を積んでなさそうなんだ。
恐らくは何者かによって強引に上位化させられた弊害だと思うんだけどね。
だから、全員で1体を相手に出来れば余裕で翻弄させられると思う」
「でも、オーガキングとオークロード、少なくとも2体はボスが居るんだよね」
「はい。流石に分散させて各個撃破はさせてくれないでしょう。
なので、リーンさんはオーガキングを引き付けてください。
その間にケイとミラさん、エルさんでオークロードを倒して、リーンさんに合流。オーガキングも倒してください。
もし取り巻きが大量に居る場合は、エルさんはそちらの対処をお願いします」
リーンさん達が頷く中、身支度を終えたエルさんから不満の声が上がる。
「私が露払いですの?」
「露払いと言っても、恐らく相手はハイオーガ、ハイオークなどです。
それにこの中で一番広域魔法が得意で大勢の相手をするのに向いているのがエルさんです。
この中ではエルさんにしか頼めない役割なんです」
「ふん。それなら仕方ないですわね。
では雑魚などすぐに灰にして差し上げましょう」
うんうん、エルさんはちゃんとお願いしたら聞いてくれるのがありがたい。
と、そこでリーンさんが何かに気が付いたように僕を見た。
「ねえ、そーくん。
今の話にそーくんが出てこなかったけど、そーくんはどうするの?」
「はい、実はさっきの偵察の折に怪しい人影を見つけたので、そちらを追ってみます。
もしかしたら、今回の事件の首謀者かもしれないので」
首謀者と聞いて、恐らく僕とリーンさんの頭の中には先日僕が襲われた剣士の事が浮かんでるだろう。
「えっとそれってもしかしてかなり危険じゃない?」
「うーん、確かに予想が当たってたら、向こうはかなりの実力者ですね。
でも、今を逃すと次に見つけられるのは、次の事件が起きた時だと思うんです。
だからこのチャンスは逃すべきではないかなと。
かと言って、オーガキング達も放置するわけにはいかないですし」
ゴブリンと来てオーガと来たんだ。
次は更に強力な個体が出てくるかもしれない。
それは何とかして避けないと。
その為にも出来る事は全部やっておきたい。
「あ、そうそう。
その事でミラさんにお願いがあったんだ」
「何でございますか?」
「幻影魔法で僕の姿を隠すことって出来るかな。
出来れば向こうに極力気付かれないように近づきたいんだ」
「はい。ですが、駆け足以上に早い動きをすると魔法が解けてしまいますのでお気をつけください」
「うん、ありがとう。よし、じゃあ作戦開始だ」
「「はい」」
そして僕達は二手に分かれて移動を開始した。
エルさんがお寝坊なのは、それだけ寝心地が良かったからですね。
次回はソージュを置き去りにしてリーンさん達の話になる予定です。