3-5 入学試験3日目 魔術テスト
よろしくお願いします。
このあたりはあらすじにてネタばれしております。
ジバンリン暦52年3月12日
学園へと続く道を他の受験生に混じって歩いていく。
「はぁ、どうしようかな」
「そんなため息ついてどうしたのかしら」
そう声を掛けてきてくれたのは、一昨日の口論の仲裁に入ってくれた、えっと……
「あ、おはようございます。リーンさん」
「ええ、おはよう。
あら? 私名乗ってたかしら」
「いえ、周りの人が呼んでたのを聞いただけです」
「そう。なら改めて、2年のリーン・バルディスよ」
「ソージュ・ライオネルです」
「それで、ソージュ君はこっちに向かっているって事は今日は魔術テストね。
自信、無いの?」
「無いというかその、僕は普通の魔法はほとんど使えないので、1点取れるかどうか、という所です」
「そうなの。確かに種族的に魔法が使えない人も居るものね。
それなら剣術の得点で……ってそっちも芳しくなかったのね」
がっくりする僕を見て色々と察したようだ。
「ま、まあ大丈夫よ。試験の成績が全てって訳でもないかもしれないし。
もしかしたら奇跡的に受かるかもしれないから、あきらめずに頑張って」
「はい、ありがとうございます」
やっぱり奇跡的に、なのかぁ。
でも折角応援してもらったんだから頑張らないとね。
あ、それはともかくとして。
「あの、リーンさん。
失礼かもしれないのですが、顔色が少し良くないように見えますが、体調は大丈夫ですか?」
そういうとリーンさんは、一瞬驚いた顔をした後、手をパタパタさせた。
「あ、大丈夫よ。最近日差しが強くなってきたのと、ちょっと栄養不足なだけだから」
日差し?夜行性の種族の血を引いているのかな。
栄養不足はダイエット?っと、女性をじろじろ見るのはマナー違反だね。
「それならこれ、良かったら食べてください」
アイテム袋から木の実を取り出してリーンさんに渡す。
「これはブラッドベリー!?」
「はい、昨日出かけた帰りに生ってたので取ってきました。お近づきの印にどうぞ」
「わぁ、ありがとう。遠慮なく頂くわ」
受け取った瞬間、リーンさんの顔に赤みが差した。
きっとブラッドベリーが大好きなんだな。
「それでは、僕はこれで」
「ええ、試験頑張って」
僕はリーンさんと別れて試験会場へと入っていった。
ふと後ろを振り返ると、リーンさんが嬉しそうにどこかに走っていってた。
会場に入ると昨日と同様、最初に試験官から挨拶が行われた。
「受験生諸君。これから君達には魔術テストを受けてもらう。
やり方は至ってシンプルだ。
自分の得意な魔法を3mまたは10m先の的に撃ち込む、それだけだ。
使用する魔法は攻撃系以外の回復系でも支援系でも、対象があの的であれば構わない。
使用した魔法に合わせてこちらで採点を行う。
では順番に呼んでいく」
そうして試験は順調に進んでいった。
「次、ソージュ」
「はい。……あの、試験官」
「なんだ。君は魔法が使えないのか?」
「はい、種火などの生活魔法が使えるのみです」
「なるほど。魔法が使えないものは他にも居る。0点だが気に病むことは無い。
では次、トライアス」
そうして僕の試験は全工程が終了した。
実技2科目が0点なら合格は無理だよね。
リーンさんは人前では清楚系で頑張っていますが、好きなものを前にするとデレます。
そして試験の結果はお察しの通りです。
的が2つあるのは、爆発系の魔法は近いと危険だからです。
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3日に渡って行われた試験も終了した。
試験の結果は……
次回:試験が終わって




