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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第2章:Sランクの私と彼
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21-1 悪い報せ

よろしくお願いします。


準決勝終了と共に次の場面がやってきます。

会場外の広場に出てきた所で、見知った冒険者が僕たちの方へ走ってきた。

先日のゴブリン騒動でお世話になった『大地の牙』のグルンさんだ。


「ソージュ。ここにいたか」

「こんにちは、グルンさん。グルンさんがここに来たって事は悪い報せですか?」

「ああ、まあな。お前さんの予想がある意味的中した形だ」

「えっと、そーくん、どういうこと?」


っと、話に置いて行かれたリーンさん達が疑問符を浮かべながら僕を見ていた。


「先日冒険者ギルドに行った時の事は覚えていますか?」

「あの街の南西にあるダンジョンに向かった冒険者が帰ってこなかったっていう?」

「それもありますが、魔物が居なくなっていた方が特に気になっていたんです」

「魔物が居なくなる……あっ、もしかしてこの前のゴブリン騒動の時と同じ?」

「はい。それも今度はダンジョンが絡むせいでより大規模になる恐れがあります」


そう。先日のゴブリン騒動は、調査の結果、周囲の山間部にいた魔物の魔石を何らかの方法で加工し、ゴブリンの核として使われていたことが分かった。

加工の方法や、どれくらい時間や魔力が必要になるのかは不明だが、これを行った犯人(達)は、これにより短期間で強力な個体を生み出し、それらの魔物を使役していた。

もしあれがただの試験運用だとしたら。

そして、今度のダンジョンを使ったものが本番だとしたら、魔物を使って何処を襲わせるのか。

あの時、森で僕を襲撃してきた剣士は僕の事を知っている口ぶりだった。それも学生としての僕を。

それはつまり、何らかの理由で学園を調査していたってことだ。

そこから考えれば、奴らの目標が学園にある可能性が高い。


「それで、グルンさん。どれくらい時間的余裕があるか分かりますか?」

「俺は昨日の夕方、魔物の群れがダンジョンから飛び出てきてこっちに向かっている事を確認した所で、急いで騎獣に乗って戻ってきたんだ。

あのダンジョンはオークやオーガの他に翼鬼(グレムリン)なんかの翼の生えた魔物も生息していた。

それら飛行系の魔物は早ければ午後にも視認できる距離まで来るだろう。

オーガ達は明日の昼前って所だな」

「分かりました。ありがとうございます」


飛行系か。先に飛んで来てくれたら少しは楽だけど、地上の魔物と連携してきたら厄介だな。

それと規模はまだ分からないけど、上位種も居るだろう。


「オーガキングやオークロードか……」

「単体Aランク。ゴブリンキングよりもずっと強敵ね。やっぱり居るかしら」

「居ないと考えるのは楽観的過ぎますね。

まあ、何はともあれ。まずは冒険者ギルドに行って追加情報がないか確認してみましょう」

「そうね」

「あ、ケイ。悪いんだけどエルさんに声掛けて来て貰えるかな。この前会ったときに共鳴石を渡すの忘れてた」

「ああ。では冒険者ギルドで合流しよう」


そうしてケイとミラさんはエルさんを探しに行き、僕とリーンさん、グルンさんは先に冒険者ギルドへ走った。




冒険者ギルドにたどり着けば、既に上へ下への大混乱だった。


「あ、皆さん、よく来て下さいました。すぐにこちらへ」


ミューさんに呼ばれるままに奥の大会議室に向かう。

そこにはギルド長と主だった冒険者パーティーのリーダーが一堂に会していた。


「最新の情報に寄れば、オーク、オーガがそれぞれ500体は確認されている。

つまりその上位種のハイオーク、ハイオーガも50体ずつ居ると見て間違いないだろう。

更にはグレムリンが200体は確認されている」

「合計1300。いや他の魔物も含めれば2000は居ると見た方がいいか。

それで、こちらの戦力は?」

「街の警備隊が1500人、冒険者はBランクが20人、Cランクが170人、Dランクが430人。後はDランク相当の学園生が700人くらいか」


警備隊の実力は冒険者で言うところのDランク程度が一般的で、隊長副隊長でCランクくらい。

あとは冒険者に比べて普段から連携訓練を行っているから、こういった大規模戦闘では活躍が期待できる。

ただそれでも。


「……足りないな。せめてCランク以上が倍は欲しいところだ」

「近隣の都市への救援要請の状態は?」

「依頼は既に送って、こちらに向かってきている。だが、間に合うかどうかは怪しいところだ」

「むぅ、どうしたものか」

「あの」


議論が煮詰まった所で手を上げる。


「ん?ソージュか。何か良い案があるのか?」

「はい。僕達で先行して仕掛けることで、半日くらいは足止め出来るかと思います」

「たった半日か……いや、半日あれば救援も間に合う。頼めるか?」

「分かりました。あと、足止めした後は僕達は魔物の後ろ側に回り込もうと思います。

もし最上位種の魔物が居た場合、群れから引き離すように動いてみます」


街を襲う魔物の中に最上位種が混ざっていれば、戦線の崩壊は必至だ。

それだけは回避させないといけない。


「無理はするなよ。ギルドに使えるものがあれば好きに使ってくれ」

「それなら小粒の魔石を一袋分、貰っていきますね。

あ、それと、戦闘が得意ではない学園生には後方支援をお願いする、というのも良いんじゃないでしょうか」


折角普段から座学で学んでるんだから、実地で活動する経験を身に付けておくのも悪くないよね。

前線に立たなければそれほど危険でもないだろうし。


「ふむ、貴重な実戦経験の場という訳だな。正直人手は多くて困ることは無い。

そのように学園側と交渉してみよう」

「はい、そうと決まれば僕達はすぐに行動に移ります。

じゃあ、街の守りはよろしくお願いします」


そう言って僕達は会議室を後にして、準備を整えてから街を出て南西へと走った。



あ、決勝戦は王子の独断場です(放置プレイとも言う)。

オーク、オーガの強さは、ある程度戦闘経験を積んだDランク冒険者なら1人で苦戦、3人で楽勝くらいです。


そう、この話を持ってくるために最初のゴブリン達が居たんだ、きっと。

当初の予定ではここでゴブリンキングが出てくる予定だったとか、そんなことは知らない。

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