20-1 準決勝(リーンVSミラ)
よろしくお願いします。
早いものでもう準決勝です(遠い目)
ジバンリン歴52年6月29日
Side リーン
早いもので武術大会も今日が最終日。
ベスト4に残ったのは私達とミラちゃん達とエルさん達。あとは3年生ペアが1組。
中でも1年生ペアで勝ち上がっているミラちゃんに注目が集まっているみたい。
ついさっきまでエルさん達と3年生が戦っていた。
あ、もちろん勝ったのはエルさん達ね。
相手の3年生もここまで勝ち上がってきただけはあって基礎はしっかりしていたけど、爆発力不足というか、結局はエラーザ王子の壁を崩せずにエルさんの雷撃魔法に倒れた。
そして、準決勝第2試合。
今私たちの目の前にはやる気満々のミラちゃんとケイ君が居る。
「ふっ、ソージュ。こうして全力でお前とぶつかり合える日を心待ちにしていた」
「あ、良く考えればケイとは稽古で手合わせはしても全力でっていうのは今までなかったものね」
「ああ。この1か月の成果、とくと味わってもあうぞ」
「うん、楽しみにしてるよ」
うんうん。ケイ君もそーくんも男の子だね。
お互いに武器を構えて見つめ合ってる。
あ、今日はそーくんも木の盾じゃなくて、普段戦いに使ってる杖を持ってきている。
それだけ本気ってことだね。
で、ミラちゃんはミラちゃんで静かに闘志を燃やしてるみたい。
「リーン様。本日はよろしくお願いいたします」
「うん、お手柔らかにね」
「私もケイ様の隣に立ち続ける為に研鑽を積んで参りました。
それがどこまで通じるか、試させていただきます」
「よぉし、私も負けないよ」
試合開始の合図と共に飛び出すそーくんとケイ君。
切り結ぶふたりを横目に私は魔法を展開す
ピッ!
「つっ」
その瞬間、こめかみの横を突き抜けていくミラちゃんの魔弾。
なるほど。展開速度も弾速も何もかも先月より向上しているのね。
直撃すればフォースバリアも簡単に貫通出来るだろう。
私は油断なく防壁を展開しつつ、氷の弾丸を生み出していく。
「今度はこっちから、行くよ!」
ヒュヒュヒュッ。
ビシビシ、ガッ!
連続で打ち出した弾丸をミラちゃんも負けずに魔弾で撃ち落とし、籠手で弾いた。
これくらいなら全然余裕ってことね。
「なら、これならどうかな」
今度は同時に10発の氷弾を弧を描くように撃ち出した。
「それならばこれで。はっ!」
ミラちゃんも負けずと撃ち出した魔弾が分裂して次々と氷弾を相殺していく。
わぁ、魔弾であんなことが出来るなんて器用ね。
あら?魔力の質を変えたみたい。何か仕掛けてくるんだね。
「「「リーン様。こんなのは如何でしょう」」」
一瞬姿がぶれたかと思ったら、ミラちゃんが3人に増えた。
幻影魔法?いや、それなら声を出せるのは本体だけのはず。
ということは、分身魔法の類かしら。
かなり高度な魔法のはずだけど、よく習得できたね。
そして3体それぞれが別々のタイミングで魔弾を撃ってくる。
「うーん、40点、かな。うん」
そう答えつつ私の氷弾が魔弾を次々と撃ち落していく。
「ミラちゃん、魔弾の威力がさっきより落ちてる。
動きもまだ少しぎこちない。
格下相手なら良いけど、同格以上には通用しないよ。
あとは、纏っている魔力量で本体がどれかばれちゃうよ」
コンッ。「くっ」
私の放った氷弾がミラちゃん本体のおでこにコツンと当たると、ミラちゃんの分身が解かれてしまう。
あ、障壁が甘くなるのも問題かな。
「ご指摘ありがとうございます。
折角ですから他の技にもお付き合い頂けますか?」
「うん、もちろん。そーくん達も楽しんでるみたいだしね」
そうして私達はそーくん達を横目に射撃戦を激しくしていった。
ミラちゃんは狐系獣人という事で、分身、幻影などのスキルが優秀なんです。
でもまだまだリーンさんには届きません。