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Eランクの僕とSランクの彼女  作者: たてみん
第2章:Sランクの私と彼
112/270

19-A 観客席

よろしくお願いします。

ジバンリン歴52年6月28日


Side ****


マリアッジ学園武術大会4日目。

去年も見ていたけれど、その8割は学芸会レベル。

とてもまだまだ実戦に出す訳にはいかないな。

出せば10分と持たずに壊滅してしまうんじゃないだろうか。


「そもそもよ。あいつらはなんで剣しか使わないんだ?」

「それしか学んでいないのでしょう」

「なんで一々魔法が発動するまで手を出さずに待ってるんだ?」

「お約束だからでしょう」

「なんで殺気の一つも出てないんだ?」

「傷つける覚悟も傷つけられる覚悟も無いからでしょう」

「はぁぁ」


まったく。昔はもうちょっとまともだったと思うだけどな。

見どころがありそうなのは3組、いやぎりぎり4組ってところか。

鍛冶の国ミスリニアの王子王女ペアは、まあ流石というべきか、ある意味学園生らしい戦い方をしつつも、頭一つ抜き出ている。

獣人族の2人組……あいつらか。まるで流れる風のように相手の力を受け流しつつ、うまい具合に出来た隙をついて勝利をもぎ取ってる。

学園生たち気付いていなさそうだが、まだ実力の半分も出していないだろう。


そして。

あのソージュってやつはやっぱり普通じゃないな。

まあ、実力が他の学園生とはかけ離れているのは分かっているんだが、まさかあんな戦い方をするなんてな。

1回戦から3回戦までずっと両手に木の盾を持って戦っていた。

いや、確かにそういう戦闘法を扱う流派は存在するが、あいつもそうだとは聞いてない。

そもそもなぜ木の盾で火の魔法を受け流せるんだ?

剣による斬撃はまあ、腕次第だってのは分かるんだが。


俺たちの視線の先では、まさに今、ソージュとリーンが4回戦を戦っている。

相手の二人はショートソードの2刀流か。

風魔法による加速を加えつつ手数で圧倒しようって事なんだろうけど……2人掛かりでソージュ1人を追い立てても有効打が全く入らない。


「そこだ、行け!!」

「へっ。流石のあいつでもこの猛攻には手も足も出ないみたいだな」

「ああ。今は何とか捌いているけど、あんな逃げがいつまでも続く訳ないしな」


そんな観客の学生たちの声が聞こえるが全く分かっていないな。

分かっているのは教師のみか。もしかしたら戦っている2人も気付いていない可能性があるな。

ソージュは延々と後ろに下がっているにも拘わらず場外には出ていない。

つまりはずっと同じ場所をぐるぐると回っているんだ。

しかも全く同じ場所を、少しずつ加速しながら、か。


「全くまどろっこしい戦い方をしやがる」

「そうですね。まるで何かを待っているようにも見えますね」

「それはあれだろ。ここまでの3戦、やりすぎたから相手に見せ場を作ってやったり、相方に出番を用意したりって事だろ。

ほら見ろよ。リーンの方が魔法を準備してまだかまだかと待っていやがる」

「ふむ。先日よりも魔力の運用精度がかなり上がっていますね」

「ああ。あれならゴブリンキングに襲われても勝てるだろうな」

「そうですね。あなたならどう戦いますか?ブラッド(・・・・)」

「んなもん決まってる。魔法を発動される前に近づいて切る。それだけだ。

ただな。それをしようとするとソージュが邪魔してくるだろうな」

「ほぉ。あなたがそこまで警戒するとは。彼はそこまでの逸材ですか」

「あれくらいならまだ負ける事はないだろうがな。っ!!

おいダーク。どうやらお前の隠形魔法が見抜かれたようだぜ。

一瞬こっちを見やがった」

「まさか。ですがまあ、これ以上見ていても収穫はないでしょうね」


そう言って立ち去ったすぐ後、ソージュの速度に追いつけなくなった所でリーンの魔法が対戦相手の2人の背中に突き刺さり、試合は終了していた。


「やっぱ祭っていうのは派手にいかないとな」



という訳で、次回から準決勝とお祭り本番です。

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