19-1 武術大会の開催
よろしくお願いします。
そんな訳で、武術大会が始まります。
まぁ、序盤はまともに戦うことはなさそうですが。
ジバンリン暦52年6月25日
晴れ渡る初夏の日差しの下、マリアッジ学園のグラウンドには2000人を超える生徒が集まり、本校舎のほうを向いて整列していた。
その列の先頭には演台があり、そこに今壮年の男性が登り生徒へと向き直った。
そして手に持っている拡声の魔道具を使って話し始めた。
『えー、生徒諸君。今日から君達が待ちに待った武術大会を開催する。
今年は例年よりも多い1020人、510組がエントリーしている。
ルールは例年通り、2対2のパートナー戦だ。
装着してもらっているフォースバリアの魔道具のバリアが破壊されるか、リングアウト、競技者が降参、もしくは審判が戦闘続行不能と判断した場合、敗北となる。
また、今回から新ルールとして、2人の内、どちらか1人でもバリアが破壊されたらその時点で敗北となる。
リングアウトは例年通り2人共がリング外に出た時点で敗北となるので、リング外に出た場合は急いで戻るように注意して欲しい。
そして本大会を通じてランクアップの査定も行っていく予定なので、皆日頃の成果を遺憾なく発揮してほしい。
また、大会に参加しない生徒も、参加者の戦いぶりから自分の糧にしていって欲しい。
それでは、マリアッジ学園の生徒として恥じる事無い、正々堂々とした戦いを期待ている』
その挨拶を契機に大会がスタートした。
初日の今日は8会場に分かれて第1回戦が行われる。
2日目は第2回戦と第3回戦が行われる。
3日目からは会場数が2つに減って4回戦、5回戦がおこなわれ、ベスト16組が決まる。
4日目にはベスト4までが決まり、5日目最終日の午前中に準決勝、午後に決勝戦が行われる予定だ。
なお、全校生徒よりも参加人数が少ないのは、主にDランクの武術に自信の無い人、ランクアップに興味の無い人、パートナーを組んでいない人がいるからだ。
大会に参加しない人は応援に回っている。
「それで、リーンさん。僕たちの出場順って何番目ですか?」
そーくんに聞かれて案内板から私達のエントリー番号を探す。
「えっと、ちょっと待ってね。
……あ、第4会場の第4試合だって。
早めの出番で良かったね」
「そうですね。最後の人だと32番目ですからね」
「まあ、一応、午前の部1、2、午後の部1、2って16試合ずつ分かれているから待ち続ける必要もないけどね。
後はミラちゃん達は何番目?」
一緒に列に並んでいた、ミラちゃん達に声を掛ける。
「はい、私達は第2会場の2番目です」
「そうなんだ。じゃあ、終わったら皆で街に行こうか。この前美味しいカキ氷のお店を見つけたんだ」
「まあ、それは良いですね。夏には少し早いですが楽しみです」
「ふむ……そうと決まればさっさと終わらせてくるか」
ミラちゃんの楽しそうな顔を見て、意気込むケイ君。
相変わらず仲良しだね。
「ケイ。2人がすぐに終わっても僕らの出番はもう少し後だから意味無いよ」
「むぅ、それもそうか。ならばソージュ、誰が相手かは知らぬがすぐに終わらせてくるのだぞ」
「あはは、うん。がんばるよ。っと、ケイ。呼ばれてるよ」
「よし。ではまた校門前で落ち合おう」
そう言って、ミラちゃんを連れて第2会場に向かうケイ君。
っと、そうこうしている間に私達の出番もすぐだね。
「さ、そーくん。私達も行こうか」
「はい」
そうして私達も試合会場へと向かうのだった。
切りが良いところで短めに切りました。
こういう式の挨拶をいかに短く纏めるか、結構悩みますね。