18-2 迷惑な勧誘
よろしくお願いします。
今回は若干めんどくさい回です。
そして自転車操業というか、投稿がギリギリです。
次回、遅れたらごめんなさい。
ジバンリン歴52年6月1日
「リーンさん。俺と一緒に優勝を目指しましょう!」
「いいえ、私と。是非私と最高の栄誉を授かりましょう」
「いや待った、俺だ」
「違うわ、私とよ!」
……何かしら。
朝、講義棟に入った所で、色んな人から声を掛けられたけど。
凄い人混み、というか、何人かは見たこともない人ね。
ぱっと見、全員上級生かしら。
「おはようございます。
皆さん、突然何の話をしていらっしゃるんですか?」
「リーン君。勿論、今年の武術大会のパートナーの話さ。
僕は3年Aランクのピーマス・クリーク。
去年の成績は学年4位。
僕のパートナーは君しか居ない!」
「私は魔術Aランクのサリーナ・カールスよ。
リーンさんと同じ氷結系の魔法だから、お互いに相乗効果が見込めし、絶対に優勝に導いてあげるわ」
「はぁ」
他も見回すと似たような事を口々に言ってる。
あー、よく考えれば去年もあったっけ。
あの時はよく分からなくて問答無用で断っていたけど、今にして思えばこの人達ってかなりの問題発言をしているの、分かってるのかしら。
「あの、皆さん。今までのパートナーはどうされたんですか?」
「ん、あ、ああ。彼女とはダンジョンを攻略する為だけの相手だから気にしないでくれ」
「そうそう。あの人は、魔物相手の壁役には良いんだけど、大会には役に立たないし」
「……じゃあ、私は大会用に役に立ちそうだからって事なんですね」
「いや、そんなことは、無いぞ」
「そうそう。その、リーンさんさえ良ければその後も末永く付き合って頂けると嬉しいなぁ……」
私が反論すると、たじたじになる男性。
そっちの女性はなんで赤くなってるのかしら。
私にその趣味は無いんですけど。
はぁ、なんだかな~。
「それと、皆さん。私が先日パートナーを決めたのはご存知ですか?
私のパートナーはゴブリンキングを圧倒出来るんですけど、皆さん如何でしょう?」
「ご、ゴブリンキング……。ま、まあ。戦った事はないが、勝てるんじゃないかな」
「そう、ね。所詮ゴブリンだし、魔導士の私の敵じゃないわ」
「そうですか。ならお二人で組まれたらよろしいのではないですか?
私は私一人では勝てませんでしたから」
お互いに顔を見合わせる先輩方を横目に、その脇を抜けて行く。
この人達の得点競争に付き合う義理はない。
「あ、ちょっと」
慌てて私の方に伸ばしてきた手を避けてから振り返る。
「まだ何かありましたか?」
「いや、あ、そ、そう。
リーン君のパートナーというのは噂のEランク君だろう。
それこそ、ゴブリンキングに出会ったら瞬殺されるんじゃないかい」
そうちょっと鼻にかけた物言いをされる。
何というか、話せば話すほど、程度の低さが浮き彫りになるというか。
怒る気もなくなってくるね。
「ゴブリンキングは教材ではありませんから」
「は?ははっ。そりゃそうさ。ゴブリンキングなんて出た日には災害級の大事件だよ。
全く、リーン君も冗談が上手いね」
「冗談?何も冗談は言ってないですよ」
自分の視線がどんどん冷たくなっていくのが分かる。
この人たちは結局成績の事しか頭にないんでしょうね。
「だが、彼の成績が低いことに変わりはないのだろう。
そんな人と付き合っていたら、リーン君の評価まで下がってしまうよ」
「そうよ。私と一緒に学園トップを目指しましょう!」
学園のトップ、ね。
そんなものにどんな価値があるのかしら。
少なくとも、そーくんの100万分の1もないよね。
「はぁ。申し訳ないのですが、やはり皆さんと組む気はありません。
出来れば2度とこのようなお誘いをしないで頂けると嬉しいです。
あ、そうそう。一応言っておきますが、私のパートナーに迷惑を掛けないでくださいね」
「ヒッ」
笑顔で殺気を飛ばしてから、踵を返して講義室へ向かう。
今度はもう呼び止められることはなかった。
ソージュと一緒にいる時と、離れている時とで、リーンさんの感情の温度差がどんどん広がっていく気がします。
次回もちょっとめんどくさい回になりそうです。
というか、エルさんが3章を待たずにがんばっちゃうかも