アルミを溶かしたのは誰だ⁈
たばこを咥えた鮪の頭が振り向くその前に!
ポップコーン!ポップコーン!ウィーニード!
ポップコーン!
まぐろボーイ「火貸して、スマトラオオコンニャク」
スマトラ「ショックだよ、燭台じゃないっての、
まあ持ってるけど」
シュボッ
まぐろボーイ「ありがと」
スーッ ハー…
ため息交じりの煙を吐き出した
スマトラ「エラから少し漏れてるよ」
まぐろボーイ「知ってるよ」
巨大な水槽の中に鰯の群れ
まぐろボーイ「昔より優しくなったと思わない?」
スマトラ「7年前より?それとも昨日?」
ーどっちでもいいじゃんー
スマトラ「館長なの?園長なの?
まあいいや、とにかく館長は優しくなったよね」
まぐろボーイ「それって失礼じゃないかな?
輝いてないみたいな言い方じゃない」
コンゴウインコ「わーたしは、
すみれすーみーれ、菫だから500万するの!」
まぐろボーイ「だーかーら、
お前は赤と緑と青だって何度言えばわかるんだ‼︎
超カラフルだって」
コンゴウインコ「すみれすーみーれ‼︎」
ピグミーマーモセット「郵便でーす」
まぐろボーイ「嗚呼、また請求書
もうすぐ開館なのに誰も来てないじゃない」
鰯がせわしなく彼方此方を
行ったり来たり
まぐろボーイ「こういうのみてると
煙に巻かれてるみたいで吐き気がしてくる」
スマトラ「移動する?」
まぐろボーイ「それ、君が言う?」
イヌワシ「ペンギンブースがデカすぎんだよ‼︎」
ーほんとうにねー
映画ブースの売店にうず高く積み上げられた
チョコレートバーの山
まぐろボーイ「ここはチャーリーと夢のチョコレート工場なの?」
スマトラ「それは商品じゃなくて
チケット売りのヴェロニカのチョコレートよ」
もぎりのサム「ヴェロニカはチョコレート中毒
ヴェロニカの体は99.9%チョコでできてるよ
もしかしたら100%かもしれない」
ーおはようサム、おはようー
スマトラ「チョコレートのアルミ箔が散らばってるね」
まぐろボーイ「僕、むかし水銀に触れたかもしれないんだ
体温計を割って、
慌ててボールみたいに転がった水銀を拾ったかもしれない
でも覚えてないんだ」
スマトラ「そうなんだ」
まぐろボーイ「だから銀色が怖くて」
スマトラ「自分も銀色のくせに?」
まぐろボーイ「やっぱりタカアシガニだけだ
僕のことをわかってくれるのは」
スマトラ「魚ブースに戻る?」
まぐろボーイ「さらっと言うけど…
しかも魚って」
ー少しくらい平気さー
売店の売り子、バリューとネームが遅れてやってきた
まぐろボーイ「ちょっと待って、
君たちそんなだったっけ?目の下にクマがあるし
なんだか様子がおかしいよ!」
バリュー「あはははは‼︎様子がお菓子いんだってさ!」
ネーム「あはは!そりゃそうだ、お菓子売りだもの‼︎」
スマトラ「ほんとうだわ、メニューも変よ」
まぐろボーイ「チョコレートピザに
チョコレートポテト
チョコレートドックに…
チョコレートポップコーン、
全部チョコレートじゃないか‼︎」
ーあははは!ゲラゲラ!ー
バリュー「チョコレート以外のメニューもあるわよ?」
スマトラ「え?どこ?…いつからこんなことになったの」
まぐろボーイ「あ、あった!
羊羹…て、あのようかん?」
ーこれのこと⁈ー
バリューとネームのふたりは
チョコレートバーを差し出した
まぐろボーイ「ぎゃーーー‼︎君たち危ないよ‼︎
チョコレート中毒だ‼︎」
スマトラ「ヴェロニカのチョコレート中毒は
知っていたけど、ここまで汚染が広がっているとは」
バリュー「爪を切るときも!」
ネーム「髪を梳かすときも!」
ーギブミーチョコレート‼︎ギブミーチョコレート‼︎ー
ヴェロニカ、ミリタリーの帽子を斜めに被り
ミンクファーのついたガウンに17㎝のピンヒールで現る
もぎりのサム「嗚呼、神さま、ぼくを助けて!
チョコレートに侵されそうです!」
ーヴェロニカ様‼︎ヴェロニカ様‼︎ー
まぐろボーイ「しろくまブースに逃げよう!」
もぎりのサム「待って!置いていかないで!
アイヘイトチョコレート!アイヘイトチョコレート!」
もぎりのサムはおいおいと泣き崩れてしまった
しろくまブース
スマトラ「ごめんなさい、重くて」
まぐろボーイ「大丈夫、ここはどうやら平和らしい」
水槽の隅にスライムのような苔
スマトラ「待って、コットン(しろくま)の様子が変よ!」
コットンは餌をさばくとき用の小魚を切るナイフで
手首を切り裂き、倒れていた
そして片手にチョコレート
まぐろボーイ「OMG‼︎」
ヴェロニカ
ーアルミを溶かしたのは誰でもない、
コットンだよー