兄弟とは 5
すみません!一部変えました…!!
「…お姉様のお母様…ですか…?」
姉の母と聞いたが、実際私は会ったことがおらずどんな人格かなど分かるわけもなく、ただ子どもを殴る人だという印象をもったのは確か。
私が人に母と言われて真っ先に思いつくのが、やはり実母。
私の母は名を旧姓でメアリー・ハロマン、今はメアリー・ベルリア・ミーシャだが、元々伯爵家で育てられたお嬢様である。
私の母はなんというかのんびりしている人で、だけど何よりも子どもの事を考える優しい人。
治療を受けていた時も、よく高熱が出れば自慢の氷魔法で冷やしてくれたり、兄が怪我をした時も「痛いの痛いの飛んで行けー」なんて歌いながら治癒を施していた。
そんな母は、のんびりしていても自分以外の誰かに父からの寵愛を与えているのが気に食わないらしく、よく私に呟いていた。
「本当に好きになった人でも浮気をしたら顔面を殴り鼻をへし折ってから優雅にごきげんようと去りなさい。」
…………お母様、4歳児に何教えてんの?
だからか?あの時兄に意味が分からなくて助け求めたら、苦笑して目を逸らされたのは。
ていうか鼻をへし折って優雅に立ち去るって逆に出来るのだろうか…
うーんと悩んでいると、目の前にいる姉は何故だかクスクスと笑っていた。
「貴女って本当に面白いのね。さっきから百面相をしていて面白いわ。」
そんなに表情を変えていたのだろうか。
頬を触ってみると、また姉はクスクスと鈴がなる様な可愛い声で笑っていた。
「ごめんなさい…私のお母様の事思い出してて…。」
多分今の時間草に水やりでもしてんだろうなぁ…
公爵夫人だけど夫人らしくなく、薬草や香草を育てている。
母はよく採った薬草をすり潰したり、乾燥させたりと自分で薬を配合して作る時もしばしば。
その度に従者が慌てているが、お母様は「大丈夫よー」なーんて言って自作した薬を煎じて自分で飲んでいるようだが、果たして効き目はあるのかないのか。
おっと、今はお姉様のお母様の事を教えてもらわなきゃ…。
「そのお姉様のお母様がどうして…?」
暴力なんかと言おうと続けようとした時だった。
突然ドアが大きく音をたてて誰かが入ってきたのは。
入ってきたのは兄と兄の従者ルディだったが、2人とも息が耐え耐えで髪もぐしゃぐしゃになっていた。
兄は、私の姿を見つけるとすぐさま駆け寄ってきたがあとから困惑した護衛がおやめ下さいと叫んでいるので、多分無理やり入ってきたんだろうなとか呑気に考えてしまった。
「はぁ…無粋な子達だ事…。姉妹で話しているだけでしょう。邪魔しないで欲しいわね。」
え、誰ですかね。
さっきとは打って変わって、姉は傍に置いてあった扇子を広げ口元を隠す。
微かに横から見えたその顔は可愛らしい笑顔なんかではなく無に等しく、声も心なしか低くなり前にいた私は背中に冷たい汗が伝ったような気がしたが気のせいだと信じたい。
兄も兄で、いつもは見せないような険しい顔をして姉を睨みつけていた。
「…姉上、この度我が妹のファナメリアがご迷惑をおかけして申し訳ありません、妹と共に帰りますのでどうかお許しください。行こう、ファナメリア。」
6歳とは思えない丁重な謝罪に、兄を制していた従者は感嘆していたが後ろにいたルディは何故だかうへぇと今にも言葉に出しそうな顔をしていた。
この姉と兄の間で本当に何があったのかと頭を抱える私を誰か許して欲しい。
次話は今日の20時更新です




