閑話
途中から色々な視点が加わります
足音が廊下に響く。
1人の少年がある部屋へと急ぐが、その少年の足取りはまるでスキップをしているようで傍から見てもご機嫌である。
日にあたるとふわふわのプラチナブロンドが反射し、黄金の瞳が輝きを放つ。
まるで絵本から飛び出てきた王子だと、社交界や従者の中で噂される程だ。
そんな少年が向かっているのは、同じ黄金の瞳を持つ自分の妹のもとである。
昨日自分の醜態を見た妹が、身を案じて一緒に寝たいと言って一緒に寝たのだが、朝起こされると同時に実母に呼ばれ、まだ眠る妹を見送り部屋を後にしたのだ。
____まだ朝食を食べたばかりだろうな…
朝食を食べたあとの妹は、まだ眠気が残っているのか自室に戻りうつろうつろと船を漕いでいる時があり、そんな姿が可愛くてよくそのまま放っておいて観察する事もしばしば。
「…まーたお嬢様の事ですか?」
と、後ろからの声がかかり、反射的にそちらへ振り向くとそこには自分よりも頭1つ分身長の違う青年がいた。
「ルディ」
ルディと呼ばれたその青年は、細い黒い燕尾服を身に纏い白い手袋をしている。
太陽の様に明るい橙色の髪に瑠璃色の瞳、主人に負けず劣らずの整った顔をしていた。
「…リリィ姉さんが見てるから、あまり心配はいらないと思うんですけどねぇ…?」
この青年ルドルフ・フラットは、妹の侍女であるリリィ・フランとは親戚同士にあり歳はリリィの方が2つか3つ程違うと聞いているが、それでも年が近いことから子爵家である実家から2人で奉公しに来ているのだ。
「別にいいだろ。」
ミカエルも物心ついた時から一緒にいるルドルフには、心を許しているのかいつもより砕けた雰囲気を出していた。
そんな主人にルドルフは「はいはい」と苦笑をしていたが心の中では「このシスコンめ」などと考えている。
「…そういえば今年も魔力を測定するんでしたっけ?」
突然話が変わったが、これはルドルフがこれ以上ファナメリアの話題を出していたら録な事がないと考えついた回避法である。
「あぁ、一応な。」
「去年のワクワクしながら参加するミカエル様、忘れられませんねぇ。笑える…グファッ!」
ニヤニヤしながらしてきたので1発鳩尾にかましてやった。
お腹を支えながら「年々拳が重くなってるうう…」とか言って悶えているが知ったことではない。
____人を馬鹿にするからだ。
国の魔力測定は毎年開催される。
貴族であっても平民であっても6歳を超えたら18歳まで必ず国からの命令で測定することになり、それは生まれながらに魔力を持つと器は、その者の魔力に合わせたもの歳を重ねるに連れて出来ていく、その際に関して体への支障が無いかを見るための測定でもある。
つい先日、魔力が体に追いつかず、1週間以上苦痛の伴う治療を受けていた妹のファナメリアがいい例である。
彼女はまだ4歳という事で、測定は受けることができなかった為体への支障が出てからの治療だったが、他の小児がその様な苦しみを受けないようにという貴族が王への訴えをしているのも事実だ。
妹の事を考える主人は、表情がよく緩くなると彼のあとへ続く従者は苦笑する。
まだ齢4歳の小さな妹は、よく自分の後ろを歩きよく従者にも笑いかける愛想の良い子だった。
さしずめ自分の真似をしているのだろうなと、微笑ましい時は妹の頭を撫で回したくなる。
つい足早になってしまいそうになるが、従者が四方八方にいる手前そんな事もできず、出来るだけ優雅に歩いているミカエルだがその口角はどう見ても上がっている。
妹の部屋につくと部屋から従者が出てくる。
だがその従者はいつも妹に着いているはずのリリィ・フランであった。
「ミ、ミカエル様!?」
明らかに挙動不審なリリィは、部屋と廊下へ視線を彷徨わせていた。
心なしか顔色も芳しくなく青ざめているようにも見える。
そんな姿をみてミカエルはどう見ても怪しいと、彼女を押しのけ妹の部屋へと入るが、そこにはいつも朝食後船を漕いでいる妹の姿はなかった。
部屋の外へと出たのかと考えたが、リリィへ行き先を聞くと真っ青になり言ったが、それはミカエルにとって鈍器で何回も殴られた様に驚くべきものだった。
後ろにいた従者も目を見開き、自分の親戚を凝視していたが次の瞬間ミカエルは部屋を飛び出し、ある部屋へと全力疾走したためそれに続いた。




