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兄弟とは 4



姉の姿は昨日は分からなかったが、日に当たると明るいブラウンが赤にも朱にも見えてまるで燃えるみたいな赤にも見える。


私もそうだが、幼い時茶色でも大人になるにつれ変わるという髪の色。

ちなみにこれはリリィから聞いた話であり、リリィ自身も最初ダークブラウンではなく普通にブラウンで、10歳位から今の色に変わっていったらしい。

この国ではそんな変化が多くて、ほとんどの人がそうなのではないかと言われた。

もしくは生まれながらに明るい髪色を持つ子も多いという。



だから朝の手伝いで髪をとく時「お嬢様はきっと奥様やミカエル様と同じ日に輝くお髪になりますね。」なんて嬉しい事を何回か呟いていた事がある。



だけどお姉様の場合その髪は、お父様かお姉様のお母様に似ているのか、私と違った日にあたると夕陽みたいに優しく輝く髪になりそうだ。


薄く弧を描く唇は手入れを施しているのか、ツヤツヤで嬉しそうに微笑む頬は少しだけ桃色に染まり年相応な少女で、一見優しそうなそして女子力高い人にしか見えない。


若干遠い目をしそうになりながらも、目の前にいる姉に体が覚えている最上の礼をする。

目上の人にはこの礼が1番いいのだと、レッスンをしてくれている先生が言っていた。

家族の場合どうだか知らないがまだこれしか礼を覚えていないのも確か。



「はじめまして、ファナメリア・ベルリア・ミーシャです。」



間違っていないだろうかとか、もう考えるのも億劫になるほどこの世界での「礼儀正しい」というのが全然分からない。


ええい、ままよ!位の勢いでしかないような気がする。

礼を終えて顔を上げそっと姉の方を伺うと、なぜか顔を両手で覆っていた。



おおおおいいい!?どういうことおおおお!?



礼があっていなかったのか。それかはじめましてではなかったのか。いや、断じて後者は違う。会ってない筈だ!


姉が手で顔を覆いながら、何かをぶつぶつと呟いている。姉や、根暗にしか見えないからやめてくれ。

そしてはよ名前を教えて。

私の思いが通じたのか、姉は顔から手をどかしこちらを見てくる。


先程の優しいにこにこが崩れて引き攣り笑いになっていた。

でも、怒ってはいないように見える。



「あ、あのお姉様…?」



もしや1回会っているとかですかね?え?



会っていたとしても2歳までは母が付きっきりだった為、それは有り得ないように思えるし3歳だとしてもたかが1年である。

忘れている筈がない。

そこまで言っておいて、やはり私はなぜ姉を姉だと思い言えたのかだ。



「そ、そうね、はじめましてよね。」



何か納得したように、頷きながら話す姉はどこか寂しそうで正直私の心が抉られそうである。



「改まして、レミーナ・ベルリア・ミーシャよ。ファナメリアは確か4歳よね?」


「はい。」



あ、やっと名前分かった。

頭の中でメモをして置こう。



「4歳はまだいっぱい遊びたいでしょう?それなのに礼儀正しいし、髪の色が日にあたると毛先が黄金に輝いて見えるからきっと将来有望ね。」



おおう、すごいベタ褒めだな………



社交辞令かなとか思うところもあったが、姉妹でそれをするのだろうか……。

何よりもまだ会って間もないのに、すごくフレンドリーでつい私もつられ笑いをしてしまいそうになる。



「きっと、昨日の事がまだ理解出来ていないからここに来たのでしょう?貴女の事だもの、ミカエルが傷ついている姿を見てしまったから…。」




それは私が今1番に聞きたかった事で、笑いそうになった頬を引き締め首を縦に振った。

眉を下げまた寂しそうに笑う姉は、話は少し長いから座ってお話しましょうと言い私を部屋のソファまで案内してくれた。

気遣いのある姉が、昨日の暴行に及んだのかと本当に疑問でしかない。

やっぱり父が私よりも前に居たのだろうか。

それだったら父ほんと許すまじ。

あそこまでいくと虐待である。

何よりあんな優しく美しい兄に、暴行をすることが何よりも許せない。

私がソファに座ると同時に微笑みながら姉は口を開いた。




「…ファナメリアは父か私だと思っているのよね?」


「…はい。でもお姉様は初めてあったのに優しくて、お兄様を傷つけた人には見えないです。」


「ありがとう。そうね。貴女は優しい子だものね。」




少し照れた様に笑う姉は、先程からずっと表情をコロコロと変え、私の中の姉の怖い印象が払拭されているような気がしたが、それは何故だか兄のあの優しい笑みにも似ていた。


だが、次の瞬間姉は自分の服の裾を握りしめ、眉を寄せ唇をきつく結んだ。






「ファナメリア、ミカエルを傷付けたのは私でもなくお父様でもないわ。…私のお母様よ。」



やっとお姉さんの名前出てきました…!


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