兄弟とは 3
その後布団に潜り込んだ私に、兄はいつも通り子守唄を歌ってあげると笑ってくれたが、先程まで何があったのかは説明してくれなかった。
瞼を閉じて自分で考えみるが、私自身何故姉に名前を呼ばれたのかすら理解出来ないままだ。
まぁそれも当たり前である。
私と兄、は母が同じでちゃんと繋がった兄弟なのだが、姉は母が違う。
なんでも愛人だったらしく、本妻である私の母は心優しい人でもあり人並みに嫉妬する人でもある様で、愛人と父の関係は受け入れ難いため私と兄を姉の存在から離している。
その為私はあまり姉には会えず、ある意味ちゃんと姿を見たのは今日。
ファーストアイコンタクトがあんな修羅場同然の場ってどういう事だよ、おい。
心の中で遠い目をする4歳児とはなんだ。と思ったところで兄の優しい子守唄が突然止んだ。
どうしたのだろうと目を開け、そちらを向くと安らかな寝息をたて長い睫毛を伏せた兄がいた。
さすが兄。見目麗しい姿を持つと寝顔まで麗しい。
私と兄は髪は違えど、顔立ちは母の血を強く継いでいるのか透き通るような白い肌など化粧はほとんどいらなさそうな程だ。
目元は母と兄共に二人とも垂れ目で、笑った顔を見せるとどれだけの人を魅了してしまうのだろう。
まぁ、まだ私は社交界には出ていないため分からないが、二人はモテそうだというのは確証がある。
身内贔屓かもしれないが。
え、怖い。この家美人多くて怖い。
またもや心の中で、遠い目になりかけた私はそこでふと疑問に思った。
なら何故、そんな姉が兄を攻撃するのだろう。
あくまでこれは仮定に過ぎないが。
美しいと噂されていると同然だからそれ故に、嫉妬して兄を攻撃するのだろうか。
そして何故私の名前を呼んだのか。
あの時確かに姉は、私の名前を呼びながら兄を睨みつけていた。
そもそも、もっと冷静に考えてみるとまだ8歳の姉の暴力だけで、あそこまであざや傷が出来るのだろうか。
そしてこの問題に私が関わっているのだとしたら、私はどうすればいいのだろう。
姉に迂闊に近づいていいものだろうか、兄は教えたくない様に見えるし何よりも、もし自分に本当に攻撃してきた相手の話などしたくないだろう。
兄は姉が攻撃した訳ではないと言っていたが…。
考えても考えても分からない私はとりあえず決意した。
姉に思い切って聞いてみよう。
ってか聞くしかない。
翌日になり、リリィに準備を手伝ってもらうと元気よく部屋を出てみた。
廊下を歩けば日差しが暖かく、今の季節が春なんだと実感する。
さて、天気よりも姉の事だ。
私の異母姉の情報は、母からだが教えられたのは私と同じ茶色の髪、緑の瞳、4歳上という事だけ。
本当にそれだけなのに、あの時何故かまともに会った事がない姉を姉と断定出来た。
それは何故か。
私もついで姉を姉と呼んだのだろうか。
ううん、あの人が「ファナメリア・ベルリア・ミーシャ」の「姉」という事実はファナメリア自体知らないはず、なら何故なのだろう。
つまりこの姉であると分かる私の記憶は、ファナメリアではなく前世の記憶という事になるのだろうか。
いやいやいや、ちょっと待て?
前世の私は確かそんな名前を持つ、しかも外国人になんて知り合いはいないぞ?
なら何故だろう。
考えても分からない事がまた増えてしまった。
だが今考えるべきなのはとりあえず姉だ。
うん、自分の事は置いておこう!よーし!
ほぼやけくそになり私は姉の事を知るべく姉の部屋に訪れてみた。
ドアの前にいた姉の護衛兵に挨拶をすれば、にこやかに挨拶を返してくれた。
私が姉に挨拶をしたいと言うと部屋に入り、アポを取ってくれると言った。
護衛兵が部屋に入り扉を閉めると私は暇になり姉の部屋のドアを見ていた。
それは木がベースで周りには金属の装飾、ドアノブなんてライオンの顔の形をしていてきんきらきんに輝いている。
どんだけドアだけでお金かけてんだろう……
それだけで気が遠くなりそうなのに、どう見ても重たそうでしかも力のない私には開けられそうも無さそうだ。
暫くドアを呆然と眺めていると、ドアがゆっくりと開き護衛兵が中からどうぞと手で促しながら案内してきた。
部屋に入ると私の数歩先でまだ名も知らない姉が嬉しそうに笑っていた。
お姉さんの名前はまだ出てこないのかってなりますよね…




