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入学までとは3


衝撃的な挨拶を終え、椅子に座りながら固まった私の頭の中は、先程レイモンド殿下とエドモンド殿下に言われたあの言葉達の意味を考えるのに夢中になっていた。


「ミーシャ公爵令嬢?」


「…?」


「ファナ〜?大丈夫〜?」


『なんだか3人の声が聞こえるけど、今はちょっと置かせて欲しい。

衝撃的すぎて返事出来ない。』


『いいえ、ここは返事しなければ不敬罪になるわ!頑張ってファナメリア!!!えいえい!!おー!!!よ!!!』


頭の中に天使と悪魔の様な私が出てきて、交互に葛藤を述べ私は色々パニックになる。

というのも、兄はまだ分かる、うん、分かる………けどなぜ父まで人の報告してんの!?というのが1番頭の中に残っているのだ。


父は姉と姉の母親との問題以来、何かと気にはかけてくれているものの、そこまで大々的に何か父親という感じのことはしない。

寧ろ見守っているのかとこちらが勝手に解釈している程だ。

母ともまだ蟠りがあるのか見るからに距離を取られている。


まさか母か!?母が父の父親らしい事を私に見せずにいるのか!?

いやでも、これは被害妄想かな……?


「…多分これは何か考えるのに時間がかかってるかな…?」


「いつもこんな感じなのですか?」

「そう言えば…さっきもこんな百面相しながら考え事してた…」


ど、どうしよう。もし母がそれを本当にしているのなら、父に申し訳ないのでは…!?っていうかあの2人いつまで喧嘩してるんだよう……。

娘は悲しい…。


「ミーシャ公爵令嬢!」


「はい!?」


大きい声でそう言われ、咄嗟に返事したがかなり裏返った声になった。名前を呼んできた方を見ると、目の前ではユリウス殿下は必死に笑いこらえ、やっと現実に戻ってきたのかという顔をするのはエドモンド殿下。

とりあえず呆然としているのはレイモンド殿下だった。


「…あっ、申し訳ございません…。少々考え事を…。」


「…あ、いや。大丈夫…。」


そう言えば、私はレイモンド殿下の温室の感想をユリウス殿下に促されていたんだったけ。

うん、父よ、ちょっと頭から離れててね。

娘は頑張ります。


「父と兄が自慢する様な娘ではないのですが…、あの、レイモンド殿下。発言してもよろしいでしょうか…。」


「?どうぞ?」


「ありがとうございます。温室のルワの実なのですが、私が植物図鑑で見たものより大きく見えて、木自体も自由にのびのびしていると思いました。この木を育てる上で、何かコツとかってあるのですか…?」


よし、言えた。言えたぞー。

ちゃんと発言する前に許可も取ったし、レディらしくちゃんと言葉遣いも…はて、コツってどう言えば…正解だったのかな?


自分の言ったことに心の中で首を傾げると、目の前ではレイモンド殿下が目を見開いたかと思うと、頬を染め優雅な仕草で自身の手を出した。

なんでしょうかこれ。と首を傾げると彼はぷッと吹き出し年相応の笑みを浮かべていた。


「君をルワの木までエスコートしないとコツも教えられないと思うんだけど?それかユリウス兄上にエスコートしてもらう?」


「えっ。」


「……あれ、君ユリウス兄上の婚約者じゃないの。」


「…め、滅相もないです…。」


するとレイモンド殿下はへぇ。と含んだような笑みを浮かべ、私はその表情を見て、何故かとてつもなくやらかした様な気がした。

言葉に出来ないのだが、背筋に冷汗をかいたのは気のせいではない。


あれかな、婚約者でもないのに、なんで王城来てんだよてめぇアアン?かな。ひええ。ごめんなさい。私もさっさと帰りたい。


心の中で家にいる兄とリリィに助けを求め、十字架を切った私の体はなぜかその場に浮き上がった。



「え?」


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