入学までとは 1
――――――これは何が起きているんだろう。
こんにちはファナメリアです。
私は今どこにいるでしょーか。
「ファナ」
後ろから。そう、すぐ後ろから声がかかり、私はまた無の境地の顔になりそうだった。
「ふふ、ファナは可愛いね。こうして私の膝に乗っても軽いし小さいんだから。」
チラリと視線を後ろに持っていくと、ふわりと柔らかい金色の髪が私の顔にかかる。
私のお腹に回された腕は、年相応な筈なのに中々抜け出せない。
足元を見るといつもどおり足は浮かんでいるけど、それだけでは無い。
もうひとつずつ足があるのだ。
ここまでくれば、お分かりだろうか。
そう、私は何故かユリウス殿下の膝の上に乗せてもらっているのだ。
しかも乗っているのがブランコ式のソファときた。
正直、普通に座りたい。普通に1人ですわってユラユラ揺れるのを楽しみたい。
………というか、不敬罪とかに、ならないよね…???
そろそろ乾いた笑いが出そうになり、必死に心に耐えろと念じるが、家に帰ったら全力で笑ってやろう。うん。
まぁ、別に今そこはあまり重要では無くなってきた。
私は視線を目の前に移し、まだかとため息を出しそうになったがこれもまた必死に止めた。そして視線を横にあった腕に戻した。
リリィ、私は家に帰る前に髪が数本抜け落ちそうだわ。
というのも、私の目の前では
「だーかーら!!僕はそんなこと知らないし、知りたくもないんだよ!!!」
「なっ…!!王族たるもの知識は必要なものなんだぞ!!?」
銀を交えた白髪の少年と黒髪の少年がそっくりな顔と同じ色の瞳をして、喧嘩をしている。
黒髪の少年というのは、言わずもがなエドモンド殿下だ。
白髪の少年はその整った顔で頬を膨らませている。
私は呼吸を整えて、もう一度その少年にチラリと視線を移すと、完全に現実逃避したくなりユリウス殿下の腕を見ることに決めた。
ユリウス殿下も少年達の喧嘩を見ながら、何か思うところがあるのか乾いた笑いをしながら、時折小さなため息を吐いていた。
「…いつも喧嘩してるんですか…?」
「……うーん……あまり仲良く話してるのは少ない、かなぁ…」
しょっちゅう喧嘩してるんですね。はーい。
もう苦笑するしかなくなり、私は喧嘩している少年達が落ち着くまで待つことにした。
が、
白髪の少年がこちらに振り返り、私に指を指してきた。
おーい、人を指で指しちゃいけないんだぞーー?
「っていうかなんで僕の温室に、女の子が来てるんだよ!!!」
女の子だって。
言い方が可愛いなぁ、ふふ。おばちゃん癒されちゃう。
飛び火は完全に移ってきたが、まぁここにいる限り避けられないだろうし、よしとしよう。
それよりも、もう逃げたい。この状況から。
「レイ!!幾ら王族でも指で人を指すなど、不躾だぞ!!!」
「っ!エドはうるさいんだよ!!!」
エドモンド殿下が私を指していた指を、自分の手で制しようとするとその手は払われ、また白髪の少年との睨み合いが始まる。
そしてまたキャンキャン吠えるんですね。
貴方らは。
私は諦めの境地になり、ついにため息を小さく出してしまった。
同時に後ろからもため息を吐かれ、小声では「あんの馬鹿…」と聞こえた。
さては貴方、口悪いですね?ユリウス殿下。
と、それはもうさておき、レイと言われた白髪の少年。
私の記憶違いがなければ、この人も攻略対象である。
レイモンド・ベルリア・フォンガード
この国の第3王子だ。
第3王子やっと出てきました。




