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兄弟とは 21

今回ちょっと短いです



「…アイシャ様…。」


涙を流し始めたアイシャ様を見た母は、何か感じ取ったようにため息をつき、何故か私の頭を撫でた。

兄も姉は、突然泣き始めたアイシャ様の姿に驚き、目を点にしながら私とアイシャ様を交互に見ていた。

そんな中、私はというとアイシャ様から堂々たるディスりを受け顔がひきつっていた。



「…ねぇ、ファナメリア?」



泣きながら上擦った声でアイシャ様が、私の名を呼んだ。



「…?はい。」


「貴女みたいにのほほんと生きていけたら私も幸せだったのかしら?」



ええぇ………何故私に聞くかな…



アイシャ様が今までどんな思いだったのかは別に知りたいとは思わなかったため、私は彼女の質問の返答に困ってしまった。



「……分からないです。」



「そう…。素直な子。」



褒められたのか貶されたのか、よく分からないが、顔を上げた彼女の表情は先程までとは違い、憎しみが消えなくともどこか穏やかな物だった。





アイシャ様はその後すぐに力が抜けた様に笑うと、父に「今までありがとうございました。」と言い、それを聞いた父も小さく頷いてルディに「連れていけ。」と言った。



「はっ。…アイシャ様。」



「…分かってるわ。…レミーナ。」



アイシャ様は涙を拭くと、姉に振り返った。



「…。」



アイシャ様は暫く口を開閉させていた。



まるで言葉を呟く様に。



私は何か口パクでアイシャ様が伝えたのか、と数分おいて理解できた。


それを伝えられた姉は顔を手で覆ったが、私にはそれでも見えてしまった。



姉の涙を。



アイシャ様を連れていこうとしたルディは、アイシャ様が口パクで何を伝えたか分かったのか、どこか悔しげな表情になっていた。



私はアイシャ様が何を言ったのかは分からない。

でも、なんとなくその言葉は姉を傷つけるものではないと思った。








その後、アイシャ様がドアの向こうに連れていかれるのを見て、私の意識はそこでシャットダウンした。





倒れる前に母が、婦人らしからぬ声で悲鳴を上げていたような気がするが、気にしないでおこう。


多分気にしたら敗けってやつだ。






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