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兄弟とは 18



それから暫くして、お茶を持ってきた執事に自分の髪の色を聞くと、にこやかにそれ(プラチナブロンド)であると言われ、私は撃沈した。



なんで…なんでなんだと思考回路をフル回転させると、後から入ってきたルディに言われた。


魔力が暴発した時、同時に髪の色が変わったのだと。


一応、年を重ねるにつれて髪の色が変わるというのは何回も聞いたが、魔力の暴発で髪が変わるというのはないらしく、特殊なケースだと珍しくルディは神妙な顔つきで話した。




「そもそも、前例が無いので…。」



あー、なるほどなぁ…。グッバイ私の茶髪。



心の中でさめざめと涙を流しながらも、現実ではため息をついた私だったが、ルディは更にこう続けた。




「…ミカエル様にお嬢様の髪色が変わったと知らせたところ、お揃いだと言って、とても嬉しそうにしてらっしゃいましたよ。」




…………そうですか。それからルディ、口の端が上がっているぞ。

私には見えているからな!



多分彼は、兄の私への溺愛っぷりを知っているため、これから構い倒される未来も予測できたのだろう。

それを面白がるというのが、このルディという従者である。



このやろう…いつか必ず心の底からぎゃふんって言わせてやる…。



「あの、ファナメリア?」



私が頭を抱えて、ルディを恨めしそうに見ていると、今まで黙っていた姉が口を開いた。


…のだが、次に何か言おうとしていた姉よりも先に、隣の部屋からの「どうしてあんただけが幸せなのよ!!」という女性の金切り声で遮られてしまった。


けれどその声は私の母でも、勿論、父でもなかった。



……………私の父はおネエではないからなぁ………ほんの少し見てみたい気はあるけど……。



もし、あの無表情でおネエ言葉を言うとしたら、屋敷にいる従者が卒倒するのではないだろうか……。




ただ、ここまで聞こえてしまうほどその声は大きく、怒りに満ちていて、私も思わず肩が震えてしまった。


傍で紅茶を淹れたりお茶請けを用意していた二人は、眉を潜め青筋をたてていた。

多分、今起きている騒動の渦中にいる最後の人物、アイシャ様だろう。

今言った言葉は父と母、どちらへ向けたものだろうか。


でも、聞いていて不快感のある言葉だったのは確か。




「……お母様…。」




ポツリと呟き、隣の部屋へと繋ぐ扉を見つめた姉の瞳は寂しさや悲しみに満ちていて、私は頭で考えるよりも先に体が動いたのか姉の横に行き、まだ短い腕を姉の体に伸ばしてその体を抱き締めた。

といっても、出来たのはその腰にしがみつくだけだが。




ちくしょう…………。顔が見えない…。




「…ファ、ファナメリア?」



動揺を隠せていない姉は、抱きついた瞬間大きく肩を震わせていた。

身長差があり、腕が短いため姉の顔を伺える余裕は無いが。

ただ、少しでも姉が、姉の瞳がこのまま寂しさや悲しさだけで満ちないようにしたくて必死だった。




「…大丈夫よ。ファナメリア。私は平気。」



自分の感情を押さえつける様な、そんな言葉を言った姉は抱きついた私の背中を撫でて「ね?」と言ってくれだが、私は何も言えなくて自分の口を噛み締めるだけだった。


そんな私に思わぬ助けが入った。







「………本当に平気な人は、自分で大丈夫とか平気とか言いませんよ。」



聞きなれたその優しい声。



あぁ、そうだ。この人だってあの人(アイシャ様)の被害者なんだ。


だったらここに来ても何らおかしくはないと、私は回していた腕を緩め、顔を上げた。




「…ミカエル…?」





私達から見たら数歩先。


そこには、眉を下げ今にも泣きそうな笑みを浮かべる兄、ミカエルがいた。

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