兄弟とは 17
母は私の無事が分かると、頬を包んでいた手で優しく私を抱き締めてくれた。
「…お母様…。」
「ファナメリアが魔力を暴発させたとルディに聞いたのだけれど…。どうして…。」
「…それは…。」
いつもの母とは違い、その声は震えていて、魔力を暴発させるというのが、どれだけ体への負担になるのかを私は考えていなかった。
ただ、ルディと姉を助けてたい気持ちでいっぱいで、無我夢中だった。
だから自分の保身をすることもせず、今現在こうやって心配させてしまっている。
最早迷惑になってるかもしれない。
母は私を優しく抱き締めたと思ったら、そのまま瞳いっぱいに貯めた涙を流していた。
「ファナメリア…良かった…!」
「…おかあ、さま…。」
これ以上、母を困らせたくないのになぁ…。
鼻がつんとして喉から何か込み上げてくる。
そのせいか、明るく返そうとした返事が震えて蚊の鳴く様な声になってしまった。
私もいつの間にか、頬を伝う涙が母の肩を濡らしていたのに気付き、服の袖で拭ったがそれは止まることを知らず、もう面倒くさくてそのまま泣いてしまった。
「…っうぅ、ぐすっ。ごめんなさい~!」
私はある意味、初めてこの世界で安心する場所を得たのだとやっと実感できたのかもしれない。
あの光が言ってくれたように、私はこの世界で生きていいのだと。
そのおかげか、私は今までの不安が爆発したかの様に、母の腕の中で暫く涙が止まらなかった。
とはいっても、数十分後には私の涙は止まっていて、母も涙が止まったのか二人して公爵夫人と令嬢らしからぬ顔で、ぐすくず鼻を鳴らしてましたね。はい。
その場が落ち着き、母も夫人の顔を取り戻したところで、父に「これからアイシャ様と話しをつけます」と言って、父ともにその部屋のソファーに座り、私とルディはその部屋の隣に位置する部屋へと移動させられた。
移動したのだが………
そこにはなんとソファーに腰をかけて紅茶を飲む姉がいて、私は思わず自分の頬をつねってしまった。
一方姉は私に気づくと口をぱかんと開き、目を真ん丸にして固まるものだから二人してアホ面をしていた。
後から来たルディともう一人の執事が固まる姉と自分の頬をつねる私に驚いて、ルディは笑いをこらえもう一人は苦笑していた。
現実に戻った私と姉が出した第一声が、
「「なんでえぇ!!??」」
………だったのは察して下さい。
とうとうルディは笑いが堪えられなくなったのか、口を抑え地面を拳で叩き始めていたので、とりあえず後で兄経由で制裁を加えたいと思う。
隣にいた執事は「お茶を新しくしますね」と微笑み、姉の使っていたカップをそのままに紅茶の入ったポットと、笑い転げるルディの首根っこをつかんで外へ出ていった。
執事が戻るまで数分とは言えど、取り残された私達二人はめちゃくちゃ気不味い雰囲気を出して、なんていうかお見合いでの話題が尽きた男女みたいな感じになっていた。
私は色々突っ走り過ぎていたのに、結局目的を果たせず恥ずかしくなり、俯いてしまった。
と言っても姉はどちらかと言えば話したいらしく、 私の名前をその優しい声色で呼んでくれた。
「ファナメリア、なんていうか…その、質問していいかしら。」
「………はぃ。」
「…どうしてメイド服を着てるの…?」
うおおおおっ!!そこは今かなり触れてほしくない部分んんん!!
唇を結んでスカートを握りしめた私を見て、姉は焦りを含んだ声で「やっぱりなんでもないわっ…!」と言ってくれた。
私も困らせてしまったと思い、大丈夫と言って首を横に振った。
………のだが。
首を振ったときに頬にかかって見えたプラチナブロンド。
兄は多分部屋にいるし、母はもう居ない筈だけどなぁと、辺りを見渡せばやっぱり母はいない。
私は目を見開きまた首を軽く振った。
すると、その髪はどうやら私の頭に生えているものらしく、確証を得るため次に私はその髪を引っ張って見た。
…………痛い……
さぁっ…と血の気が頭の上から引いていく。
嘘でしょおおおおお!!??マイ茶髪はぁぁぁ!?
私は内心混乱をしていたからか、気づく事が出来なかった。
姉が呟いたその言葉を。
「…ただ、ファナメリアはこんな行動をしていたかしら…?」
やっとファナメリアはお姉さんとの再会ができました…!!
いくつか修正させて頂きました!




