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お嬢様とは

ルドルフ視点が途中で入ります



ファナメリアが叫んだ瞬間、目の前で眩しい光が辺り一面を覆い、ルドルフの体も例外なくそれに覆われた。


眩しすぎるその光はバチバチと音をたてて、雷を纏っていた。


だが、それはファナメリアを避けるように動き、当たらないようにと突き飛ばした彼、ルドルフにも当たりそうになるが、彼は間一髪体勢を持ち直し座り込んでしまった少女の体を抱き締めた。



雷の音もファナメリアの側に居れば鼓膜が破れそうになるあの音がほぼ聞こえない状態になり、ルドルフは半ば唖然としながら少女の周りを見渡していた。


しかも、まるで狙い済ましているかのように本棚の周りが焼け焦げていく。

こんなときでも隠し部屋を特定し、姉のレミーナを助けようとしてしまうのだから、暴発でもある意味質が悪い。



また扉から入ろうとしてきた兵は、情けなく悲鳴をあげて部屋の外まで逃げていった。




―――どうしよ、これ……。




1人この部屋で今、まともに思考回路が働いているルドルフは青筋をたて、ひきつり笑いをしていた。


目の前で抱き締めている少女が魔力を暴発させてしまっているのは、分かった。

けれどそれをどうやって止めるかが、分からない。


どうして彼女が、いきなり魔力を暴発させたのかもルドルフは分からないままで、対処の仕様がなかった。




「うーん…確か魔力を暴発させるのって…。」




頭を捻って考えるが、ルドルフが知っているのはその暴発した術者が何かによって止められるか魔力がつきる、つまり死ななければこれは止められないのだ。



こめかみに手を当て空を仰ぎたくなったルドルフは自分の今の魔力では到底ファナメリアの暴発した魔力には敵うはずがない。


兵は居なくなったが、ある意味絶対絶命になった。



ファナメリアを見捨てるようならばミカエルからは信用を無くし、父にも勘当を言い渡されるだろう。




――――っていうか確実に俺死ぬな。うん。



大きくため息をつき、彼女を抱き締めた片方の手へ魔力を込めるがファナメリアの今の状態を見ると顔は青を通り越して白くなっている。

最早一刻の猶予も無いというわけで。


だが、それ以上に目がいったのは彼女の髪だった。


お仕着せを着た際、まとめた茶色の癖のある髪が解けて、彼女の肩に落ちるがその髪の色は、彼女の兄や母と同じプラチナブロンドへとつむじから毛先にかけて変わっていく。


この国に住む人間は確かに幼児から青年期に髪の毛の色や瞳の色が変わっていくのが普通にある。

だが、それが魔力の暴発で変わるというのは聞いたことがない。


ルドルフは目を見開いて、魔力を溜めながら見ていた。




―――…まじかよ。




数分してやっと魔力が最大まで溜まるが、到底これを雷に打ったところで何も変わらないかもしれない。


ルドルフは奥歯を噛みしめ、ファナメリアの体を片腕で強く抱き締めた。

大きく息を吸い、詠唱を唱えようとしたが




「 」



どこからともなく唱えられた詠唱により途端に雷が鳴りやんだ。



雷の渦中にいたルドルフは音がなり止んだことに目を見開き、訳が分からないといった表情で辺りと自分の手元を見た。


しかし溜め込んだ魔力は自分の手元にまだ残っているが辺りは雷で壁や地面を抉られているが、火事も起きず消されている。




溜め込んだ魔力をまた自分の中に戻し、ファナメリアの顔色を見ると青白さは戻らないが呼吸が落ち着いている。


それにホッとして詠唱をした人物を探すと、確かにいたが同時にルドルフは自分の目を疑った。



疑うしかなかった。




―――――おいおい…。




その人物は涼しい顔をしてこちらへと歩いてくるが、その顔はどちらかと言えば怒気を含んでいて、肩が震えてしまう。




―――うん、逃げたい。




若干泣きそうになりながらもその人物と対峙すると、自分よりも頭二分ほど違う身長が目立ち、こちらは無意識に萎縮してしまう。

栗色の髪が襟足より長く、中性的とも言える男性的なその均整のとれた顔には、金色の瞳が埋め込まれている。

藍色を貴重とした服には金糸の装飾が施され、貴人を表していた。



「ファナメリアは、」




その声は指示を出す時や愛人と逢う時の様な、感情のこもらない物とは違うそれは、僅かに焦りを含んだ声にルドルフは目を点にしてしまった。



眉を更に潜めて最早、睨んでるようにしか見えない男は片膝をつき、ファナメリアの体をルドルフから取り上げる様に抱き上げた。





「……当主様。」





やっと出た声は、目の前にいる男、

ミーシャ家現当主ドフスキー・ベルリア・ミーシャに届いているのだろうかと遠くを見つめそうになるルドルフであった。








お父さん出てきました…

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