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兄弟とは 14



暗く狭い通路をランプ1つで並びながら歩く燕尾服を身に纏った青年と、お仕着せを来たまだ幼い少女が2人口も閉ざして歩く。



こんなところが…。



私が存在を知りあんぐりと口を開け、唖然としているこの場所は昔作られた屋敷内の地下にある隠し通路らしい。

屋敷のどの部屋へも繋がっていて、この通路からなら姉を姉の部屋からこっそり連れ出すことが出来るかもしれない、とルディが手伝うと同時に出してくれた作戦だ。



さっきまでいた細い廊下は地下に繋がる隠し扉があったようで、私が万が一、1人で姉の部屋へ突入した場合隠し扉から、姉の部屋へ入り私だけでも連れだそうとしていたらしい。




………こいつ絶対策士だ……。




どうせ、そう言っても鼻で笑われるかヘラヘラ笑ってかわされる未来しか考えられないので、恨みがましい目をして、将来ハゲるようにと毛根に呪いを心の中でかけてやった。

私の執念がこもった視線に気づいたのか、ルディはこちらに顔を向けて小さく口角を上げた。



「俺に熱い視線送っても期待には答えられませんよー。」


「えっ、ルディ将来ハゲないの?」



なんだー、つまんないの~。



口を尖らせてランプに視線を寄越すと彼は「はぁ」と不服そうにため息をつき今度は体を向けてきた。



「なんでですか……。ていうかなんで俺将来ハゲる前提になってるの!?」



きれいなノリつっこみだな~



「……だってルディ本当はお姉様を1人でも助けられたのでしょう?だからひどいって思って将来ハゲますようにって呪いをかけてみた。」



ルディは私の言葉を聞くとまた大きなため息をついて燕尾服の裾を翻し歩き始めた。

歩きながら小さく言葉を呟いていたが、イケメンの憂い顔でも気味が悪いので切実にやめてほしい。




歩き始めて数分経ったぐらいに、ルディがいきなり立ち止まり、ランプを自分の頭よりも上に掲げた。


掲げられたランプに視線を持っていくとそこは木で出来た扉で、扉には大きく窪んだ場所が中央にあり、ルディはその窪んだ場所に手を入れた。


次の瞬間扉は軋みながら回転し、木で通路が半分ずつ区切られた。




………忍者屋敷か、ここは…。




明らかになっていく我が家の裏事情にそろそろ悟りを開きそうになる。


扉の奥に進むと、数歩先に今度は先程の扉よりも一回り小ぶりな扉があった。ルディでも少し屈まなければ入れない様で、こちらに振り替えることは無かったが、「離れないようにしてください。」とランプを持っていない片手で私の手を繋いできた。


扉からは光が溢れ出ていて、先程まで暗い場所に居たためか、どうしても目を細めてしまう。


完全に扉の外に出るとそこはつい最近訪れた姉の部屋で、扉はどうやら大きなクローゼットに繋がっていたらしい。



幸い部屋には誰もおらず、姉の捜索はなんとか姉の母と会う前にできそうだった。

姉がいる隠し部屋が、私が知っている場所と同じなら姉も同じ場所にいるはずなのだが、そもそも本棚が一つだけという訳ではなかった。



姉は読書が趣味らしく、本棚が大きい物で四つ小さい物で二つもあり、私はどの本棚か特定できずにいた。




「お姉様…。」



下手に大声で姉を捜索すれば外にいる兵に見つかり、私達もただではすまないだろう。

かといって諦めてしまえば姉は一生あの優しい笑顔を見せてはくれなくなる。

ここに来て、自分の無力さを自覚してしまい、口をきつく結びスカートを握りしめた。





「やっぱり、貴女方兄妹はそっくりですね。」





後ろにいたルディが私の姿を見て何を思ったのか突然そんなことを言った。



修正しました…!

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