死の定義
カシャン
と泣く光が闇を押し退け降りかかる
「なんだ?」 目が覚める。
周りを見渡すが、見慣れない家具が ポツン と置いてある。
「ここ、どこだ?」
もっと大事なことが思い出せない気がするが・・・まぁ、良いや、頭痛いし考えるの止めよう
【どうしよう】か考えた結果外に出ることにした。【外に出れば何かしらあるだろう】
立ち上がり、さっきまで寝っ転がっていた白い絨毯の上を歩き出した時、
「やあ」
と突然後ろから声が聞こえた
「やっと起きたんですね」
「・・・誰だ?お前」
「あ、申し遅れました。僕は”神堂”と言います」まるでどこぞのスマイル0円不健康店の店員のような営業スマイルでそう言った。
【ここはどこかの店で、酔っ払ってか何かで入ってしまったのかもしれないな】と考えていると「あの、」と話しかけてきたので【油ひたひたポテトか化学調味料の塊バーガー的な何かを売りに来るのかな?】と思っていると
「どうやら貴方も僕もついさっき死んでしまったらしいんですけど・・・俗に言う”幽霊”ってやつになったみたいです」とか馬鹿げたことを言い出した
「えっと、今幽霊って聞こえたんだけど・・・湯豆腐の聞き間違い?」ちょいと厳しいが聞こえなくもなくもない、うん
「いえ、幽霊ですよ」
「あ、そういうセールス?貴方が幽霊に取り憑かれてるからこのままじゃ死んじゃうからこれ買って的な?」
「いえ、だから貴方はもう死んでて幽霊になってるんだすよ」
「へ、へぇ~、そーなんだーあははー」【どうやらこいつは今流行の中二病ってやつを患ってるみたいだな。お大事に】
「えっと、・・・まぁいきなりそう事言われても分かりませんよね。」
「そりゃ、ね」
「根拠といってはなんですが、血液型でも何でも良いので、何か自分のことを思い出してみて下さい」
「いや、血液型ぐら、い・・・ってあれ!?」【血液型どころじゃねぇ!!、名前も誕生日までも思い出せねぇ・・・。】
「少しは信じてくれました?」 ニコッ と微笑み問いかけてくる
「ま、まぁ少しは。」【にわか信じがたいが、どうやらほんとに幽霊になった、らしい・・・?】
「早く記憶を戻してやらないと・・・明日には――」
静かで質素な部屋に ボソッ とその台詞が響いた
「記憶・・・戻るのか?」
そう問いかけると神堂は ポカーン とした顔をした。
「あれ?あ、すいません言い忘れてました。記憶を取り戻すには”カギ”が必要です」
「カギ・・・かぎってなんだ?」
神堂は意味ありげに微笑んだ
「カギの実態まではまだ知りません。・・・なんせ僕も今探してる所でして。」
「そ、そうか」
「貴方も早くカギを探した方が良いですよ。自分のことが分からない怖さ・・・分かるでしょ?・・・すみません出掛けます。」
「あ、ちょ、ま――」と言いかけた呼び止めを遮り「では、また。」と声を残し、光と闇の混じった世界にとけ込んで消えていった。
【なんだあの神堂とか言うやつ、まだ聞きたいことたくさんあんのに・・・にしてもあいつ、なんか引っかかるな?】とりあえず閉まってるカーテンを開いてみる
【やっぱり、肝心な時に思い出せないな。考えるのはよそう、どうやら向いてないみたいだ。】開いたカーテンから ギラギラ と優しい光が薄暗い部屋に射した。
【夏だったのか】やはり覚えてない。
どこか悲しくも、強く優しい太陽が外一面に照っていた
「まぶしいな。」自分には、それがやけに眩しく感じられた
ぱっと見た目線の先に一人、誰かが倒れていた。
距離も遠い、記憶も無いもんだから誰かなんて分からなかった。分かるはずも無い。しかし、
「たすけなくては!」直感的にそう悟った。
きっと、これが歪んだ、天の邪鬼な神様がくれた、唯一の”良い運命”だったのだろう。すぐさま家を出て、横断歩道を渡りその人に声をかけた
・
「大丈夫れすか」あさっていて噛んでしまったが気にしない気にしない、・・・気にしない
すると、彼女はこう言った。
「みじゅーーーーー」
【この人野生のミ⭕ュマロなのだろうか?】
「え?」
「みじゅをくれーー」
これがお互いの初対面だった