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エピローグ
暗い夜に一人、男が歩いている。
コツン コツンとコンクリートの心地の良い音が鳴く。
そんな深い、深い孤独の中からふと、
「こんにちは」と声が聞こえた。
顔を上げると、先も見えない底なしの闇に、キラリ と光が反射していた。
「・・・きれいだな。」 全てを納得した
反射した光は、男を貫き鮮やかな赤を彩った。
足に力が入らなくなり、ドサッ と倒れた。自分の背だった方に、暗い暗い道を割く、光が照っていた。
「後ろには、こんなに光があったんだな。」
記憶がレコードのように流れていく
もう後戻りは出来ない
「どこで間違ったんだか」
段々と意識が遠のいていく
レコードは流れ続ける
「俺なりには・・・頑張ったよな」
思ってもないことを口にしてみる
「あぁ、眠いな」
そう言ってゆっくりと目を閉じた
レコードは遂に流れ切ったみたいで「おやすみなさい」と乾いた声で静止している
映像には、鮮やかな赤、暗い夜道を割く光の先にいる、”白衣の人”が写っていた