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ターン8

「そういえば」


「何だ?」


「スライムは痛みを感じないのに筋肉痛なのか?」


「痛みがあるわけじゃないらしい。全身が常に痺れているのに近い、みたいだな」


「俺には今までの震えと痺れての震えの違いがわからんぞ」


最初に激痛と言ったのは痛みがないだけで動くのは辛いからだ。


今も布の中で休んでいる。


干し肉効果か不明だが痺れが少しマシになってはいるらしい。


「・・・ようやく探し出したみたいだな」


「上手く開くと良いが」


「なんか嫌な予感がするわよね」


罠が発動しても駆動音がしないため反応が遅れる。


さらに言えば振動も消されているだろう。


「あら」


「ぬっ」


「げっ」


床が行き止まりに向かって傾き、滑り台のようになった。


団体は早くに落ちて見えなくなっていた。


耐えようにも掴むところがないから滑っていく。


「どこまで落ちるのかしらね」


「こんなところまで灯りがあるとはな」


「最終地点はカタコンベか?」


濁流とも言える水路と合流した。


水は無駄なくらいの透明度を誇っていた。


「水?」


「まずいぞ」


「どうしたの?」


水路の幅いっぱいにスライムが広がった。


こうなるとしばらくは戻らない。


「このまま行きましょう。足がつかないから泳がないといけないし」


「スライムに包まれていたら溺れる心配はないな」


問題は妙に振動が伝わるくらいだ。


全身の痺れがまだ残っているのだろう。


「うん?」


「落ちるか?」


「到着か?」


吐き出された先は円形の天井付近からだ。


高さは異様なくらいあり助からない高さだ。


スライムに包まれたまま床に叩きつけられた。


「助かったわね」


「スライムのおかげだな」


「ライム、大丈夫か?」


どんな衝撃も吸収してしまうという特性が最大限に発揮された。


されたが全身が筋肉痛のスライムには苦行だった。


床に広がったまま悶えている。


「ここ、何かしらね」


「死体が行き着くところ、か?」


「それなら俺たちより先に流れている団体の死体はどこに行った?」


水路は分岐することなく流れていた。


分岐していても他のところに行けるほど簡単な流れではなかった。


「私たちみたいに助かって部屋から脱出した?」


「短時間にか?俺たちとあいつらの到着に時間の差はほとんどないぞ」


「この部屋からの脱出方法を知っていたとしても罠だと知らないのは不自然」


後ろから来ていたウィリーたちを始末したかったとしても自分たちまで危険にさらす必要はない。


あの水路は途中で力尽きて溺れるくらいのものだ。


「あと大量の水はどこに消えたの?」


「床が中心から壁に向かって傾斜している。壁と床の隙間から流れたと考えるのが自然だな」


「ねえ」


「どうした?」


「この床の下が空洞になっている可能性はないかしら?」


水が下に落ちたということは空間があることは分かる。


その空間が水を通すための溝程度のものではなく、多くの人すらも取り込める空間ならすべての謎は辻褄が合う。


「最初に後方部隊がいなくなったときに通路に隙間を見つけたわよね」


「あぁおそらくは重さに反応して回転して下に落ちる仕組みだ」


「落ちた人は水路に回収されて流れ着く」


「流れ着いて集められた死体や水が貯まると下に落ちる」


動力は必要ない。


重さや仕掛けだけを用意しておけば侵入者たちが勝手に罠にかかってくれる。


「ここから出る方法は天井か、床か」


「床なら歴代の猛者たちと会えるわ。おそらく死体だけど」


「他に出るための仕掛けはあると思うけどな」


「ウィリー?」


「この遺跡が侵入者を排除するための罠があるのは分かる。だけどこの遺跡を作った人は地下なりどこかに宝を保管していたわけだろ」


誤って罠にかかったり侵入者と鉢合わせしたときに備えて自分たちだけが助かる方法を用意しておくものだ。


暗号だったり隠しボタンだったりするが残しているのが普通だ。


「生きて出る方法があると見て間違いないだろう」


「そうね。この古代文字だらけの壁を解読出来たらの話だけどね」


「あとは押したら動くとかだな」


「やるしかないわね。どうせ待ってても助けは来ないし」


フェンリルとケットシーは外の匂いを探す。


ウィリーとアンヌとジェイクは古代文字で不自然な並びがないか探す。


スライムは痺れを取るために水でふやけた干し肉を食べる。


「おかしいところがあるわね」


「あるな」


「あるな」


「古代文字がすべて凹面にも関わらず一か所だけ文字が凸面になっている」


これだけでどんな仕組みかは分かる。


仲間のしるしに同じ文字で鍵になるような装飾品を持っている。


はめ込んで押せば外に出られる。


フェンリルもケットシーもわずかに空気の流れを感じとっていた。


「何か作れそうな板もない」


「壁も砕けそうにないな」


「うん?ライムどうした?」


床で伸びていたスライムが這って壁を登りだした。


スライムは体を自由自在に変えられる。


ロロル遺跡では石碑の文字を正確に模りした。


「スライム君が型になるの?」


「それならなれるだろうけど」


スライムは柔らかい。


押すのは難しいと考えていた。


「少しの時間なら固くなれるらしい」


「迷ってる時間は無いわね」


「やるか」


ウィリーがスライムを持つと普段より小さくなった。


文字を覆うくらいで固くなる。


ゆっくりと押し込むと周りの壁も一緒に沈んだ。


「本当に隠し通路があったのね」


「とにかく進むぞ」


「急ぐぞ」


隠し通路の壁にも同じものがあった。


「つまりどっちからでも行き来ができるのね」


「どうする?閉めておくか?」


「そうね。このまま開いていて水が流れて来ても困るものね」


安全を確認してからスライムで壁を押した。


ゆっくりと壁が戻り一見すると行き止まりに見えるようになった。


「お疲れ、ライム」


「お手柄だったな」


布に包まれて休む。


罠にかかってから体を酷使したからだ。


「あとは下に降りる階段を探すだけだが」


「簡単に見つかるものね」


「罠の可能性は?」


「でもね。あの通路から真っ直ぐ進んで外に出たことを考えると階段を下りる以外に方法は無いと思うのよね」


仕方なく階段を下りる。


重さで反応する可能性も考えて間隔を広くする。


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