不敵に笑う
暖かな日差しが降り注ぐなか、俺とバレイアはいつも通り稽古をしていた。
俺は、バレイアと剣を交えながら、風を起こしてバレイアの体勢を崩そうとした。
バレイアは足を縺れされたが、俺の攻撃を難なく避け、喉元に剣を突きつけた。
「ルド、強くなったな。」
目隠しを外しながら、弟子の成長を喜ぶバレイアに、
「こんなことない。俺は、目隠しをした貴方に1回も勝てないから…」
悔しそうにいう俺の頭をグシャりと撫でながら、
「お前は強くなった。この1年で魔法も使えるようになったし、太刀筋も前より良くなった。」
俺は、照れたのを隠す様に髪をかきあげた。
俺がバレイアの所に来て、1年経った。
俺はバレイアに剣さばきを教わるなか、自分が魔法を使えることに気がついた。
俺の祖先は、魔術師だったらしい。
そのため、俺の親族は皆魔法が使える。
だが皆、肉体強化の魔法しか使えないのだ。
だから、俺も使える魔法はそれくらいだと思っていたが違ったみたいだ。
両親に魔法が使えることを連絡すると、とても驚かれたものだ。
また、バレイアの強さと人柄を尊敬しているから、今では「師匠」と読んでいる。
「ルド、お前、俺と一緒に戦場に出る気はないか?」
唐突に言われた言葉に驚く。
「俺が師匠と戦場に?」
「そうだ。嫌か?」
「いや…嫌じゃないけど、俺が一緒に行ってもいいのか?」
師匠と俺が合った1年前、バレイアは敵と戦い負傷し、療養している最中だった。
俺は、師匠の事を慕っているから一緒に戦場に行くこと自体は嫌じゃない。
それどころか喜ばしい事だ。
シュトラール帝国には、海軍と陸軍がある。
師匠は、海軍の中将のなかでも指折りの実力者だ。
前も言ったように、シュトラール帝国は「弱肉強食」の世界だ。
弱ければ淘汰されるしかない。
つまり、俺が師匠と戦場でて悪い結果を残せば彼の経歴に傷を付けるのだ。
どうしたものか…
と考えていると、
「大丈夫だ。俺はお前に頼らなくても、良い結果が出せる。ルド、お前は肩慣らしだと思えばいい。」
俺にプレッシャーを与えないようにしながら、戦場に引っ張って行こうとする師匠はら本当に弟子思いの良い師匠だ。
「…それで?来るだろう?」
いたずらっ子のように笑う師匠に
「師匠より手柄、あげるから。」
俺は師匠に不敵に微笑んだ。