暗先
俺は倉崎瑛太、高校生になって早2年。そこそこ可愛い幼馴染みを始めとした女友達が居る俺は勝ち組だと思っていた。勿論男友達も居るわけで、リア充道まっしぐらとワクワクしながら送る高校生活に俺はそろそろ自分の置かれた状況、そして能力?に気付き始めた。
周りの友人達は次々とリア充になっていき幼馴染みまでもがリア充となった。最初に誕生したリア充は俺の親友と言っても良い友人、早咲優太だったわけで、それから驚くような勢いでリア充カップルが生まれ始めたのだ。
そして俺にも春が来る……!!察しは付くだろうが彼女が出来ずに、いや何も起きずにただ平凡に1年が終わった。
いつしかワクワクも消え2年の2学期始まりの頃、いつものように授業が終わりリア充共はイチャつきながら帰る中、1人で教室から出る時女子の会話がふと耳に入って来たのだ。
女子A「彼氏欲しいなぁ〜」
女子B「倉崎の友人になってみ?リア充になれるんでしょ?」
そ う き た か 。
俺は確信した、こんな女子の噂話だけでとは思うかも知れないが確信せざるを得なかった。
あれだな、俺は知り合いや友人をリア充にする能力を持ってる訳だ。自分自身にもその能力を使えたら良いのだが……勿論使えるなら即使っている。これじゃお先真っ暗だ…
あぁだからクラスメイトが書いた俺の名前、倉崎じゃなくて暗先になってる訳だな。納得。
「って納得出来るかァァア!」
周囲の目を気にせず叫んだことを後悔していた時突然、
「倉崎瑛太さんですよね?私に彼氏を作って下さい!」
「…………え?」
目の前には、どストレートど真ん中の女の子、そして数秒後やっと理解が追い付いた。
一見告白の様にも聞こえるセリフ。俺が暗先の意味を理解していなければ勘違いする所だった。
そしてこの女の子との出会いが、俺の平凡過ぎる日常の歯車を狂わせる事となる。