地獄が始まる
「な、んだよっ・・・!?キモいキモいキモい!!!こっち睨んでんじゃねーよっ!!」
いつもとは違ったただならぬ殺気を感じ取ったのだろう。
一人の茶髪女子が怯えたように叫んだ。
だけど、同じグループの女子共はまだゲラゲラと甲高い声で笑っている。
「えー?なになに?真理ってばこんな豚にビビってんのー?」
「真理はチキンだから仕方ないよ!」
「うっわー、珠理奈ひっどぉっ!」
更に笑い声は大きくなる。真理と呼ばれた茶髪女子は、顔を真っ青にしてこちらを見ている。
私は大きく目を見開いたままニヤリと笑った。
そして、鞄についたテディベアのストラップを、鞄からブチッと引きちぎった。
掌にあるテディベアを見つめた後、真理をもう一度睨む。
なぜって、こいつが、真理がこのグループのリーダーであり、いじめの主犯格だって知っているから。
「安心して下さい。立花真理さんとその他の皆さん。クラスメイトの皆さん。今からちょっと怖い事が起こるかもしれないけど。」
「ひっ・・・!あぁ・・・っ、うぁぁ・・・!?」
「すぐに楽に殺してあげます。」
そう言って私は顔を上げ、テディベアを口の中に放り込む。
ゆっくりねっとり咀嚼して、口の中でバラバラになっていくテディベアを徐々に胃に押し込む。
味なんて感じない。たとえ不味くても、私は何も感じない。
私の行動に誰もが息を呑む。さっきまでの騒がしさすらない。
ごっくんと全て飲み終えた私は、手始めに珠理奈という女子を殺すことにした。
自分に向けられた視線に気づいたのだろう。そして悟ったことだろう。
『ああ、最初はわたしなんだ』って。
逃げ出そうとするクラスメイトを見つけた私は、机や椅子や棚をなどを自由自在に操って、教室内全てのドアと窓を封鎖した。
ドンドンと壁に音を立てながら、机や椅子が積み上がっていく。そして、数分もしない内に、教室内に大きな堀のようなものが出来上がった。
「ああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!俺の腕があああああああああああああああああああっっっ!!!!!!!!!!!!!」
一人の男子が、赤く染まった自分の右腕を抱えて叫んでいる。
さっき逃げ出そうとした男子だ。
急に迫ってきた机に腕を持ってかれたのだろう。
近くにいた生徒は泣き叫び、狂ったように頭を掻き毟っていた。
どうして自分がって思ってるでしょ。
それはあんた達が私をいじめるからだよ。
お前らなんて、お前らなんて、
「うるさい、黙れ。」
死ねばいい。
私は掌から真っ赤に燃える炎を生み出すと、その男子生徒に向かって静かに放った。




