芽生える殺意
私はダリウスと契約した。ある条件付きで。
その条件ってのが、少しというか、かなり厨ニ病設定っぽくて、話すのも恥ずかしいわけなんだけど。
ダリウスに告げられた条件とは。
『クロノ』という黒魔法使いを倒して欲しいという事。
クロノっていうのは、なんでも人間の脳内に住まう魔女らしい。
元々は害のない魔女なのだが、ある刺激を与えたまま放置し過ぎると、クロノが暴走して、その人間は完全なる悪に染まるんだとか。
大体の殺人事件やら拉致・誘拐やらテロやらの犯人は、脳内で起こったクロノの暴走が原因なんだそうだ。
それで、あまりにも危険だからって駆除することになったんだって。
ダリウスの国で決まったらしいけど、ほんとにダリウス何者なの。
そんなこんなで、私はダリウスと契約したんだ。理由は、ただ単にクラスメイトに復讐したいから。
契約することで、私から感情が無くなった。
と、同時に、それ相応の力が手に入った。
ダリウスはクロノと闘うための力だって言ってたけど、私はこの力でクラス全員の皆殺しを企んでいたりする。
っと、それとあと一つ。
どうして私が契約に誘われたか。
なんか、誰でもいいってわけでは無いらしい。私みたいに、現実に絶望しきってて、今にも死にそうって人の方が、大きな力を得られるんだって。
笑っちゃうよね。だって、まさに今の私じゃない?
クラスメイトからはイジメられ、親からは虐待を受け、近所の人からは陰口を叩かれ、公園で戯れている子供たちにまで指を指されて、笑われて。
そして、何度も自殺未遂とかして。
一人でも私を愛してくれる人が居たら、私も踏みとどまってたかもね。
「おい、ブス豚クソビッチ。」
「無視してんじゃねぇよ、ゴミ虫。」
ああ、きたきた。揃いも揃って下衆共が寄って集って。
「・・・なん・・・ですか?」
「お前、うちらと対等に会話しようとしてんじゃねぇよ。キョドキョドしててキモいわ。」
別にキョドキョドしてないし。
つか、対等に会話したくねぇなら話しかけんなよ。
金髪女子共はゲラゲラと私を指さして笑う。
この光景はとっくのとうに見慣れたはずだった。だけど、沸き上がってくるもの抑えることが、今の私には不可能だった。
ダリウスのやつ、ちゃんと感情消したのかな、なんて。
だって、『殺したい』って思うってことは、感情が残ってるってことじゃない。
そういえば、ダリウスが言ってたような気がするな。完全に感情を消すのには時間がかかるって。
金髪女子共はまだゲラゲラと笑っている。
目にはゴミのように映る私。
耳鳴りが酷い。
ああ、聞きたくない。こんな奴らの声なんて。
ああ、見たくない。こんな奴らの醜い顔なんて。
今すぐにでも、
「殺したい。」
私は殺意むき出しの目をらんらんと輝かせて、群がる女子を睨む。
私はもう無力じゃない。
そう思うだけで、体の底からやる気と殺意が昇ってきた。
数分後、教室が地獄へと化すなんてことくらい、私には簡単に把握できた。




