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契約テディベア  作者: 笠凪あずき
日常の終了と契約
2/8

契約

「・・・ふーん。じゃあ、聞くけどさ。」

私は首吊りを中断して、立っていた椅子に腰掛けた。

縄がプラプラと揺れている。

私はというと、脚組みしてるわけでもないのに、随分と偉そうな態度だ。

いじめられてた奴の態度とは思えない。

正直自分でも驚いている。

けど、今はそんなのどうでもいい。

「具体的に『力を貸す』って、何してくれんの?」

そう、問題はそこなのだ。いくら力を貸すったって、意味不明な戦闘機だけ渡されても困るし。

でもまあ、普通の人ならまだしも、この人は密室のこの部屋に現れたのだ。ただ者じゃないのがなんとなくだが分かる。

口をへの字に曲げる私に、ダリウスは関係のないことを私に問いかけた。

「火と水と雷と草と闇・・・、この中でどれが好き?」

と。

「・・・っは?」

そりゃあ、私もこんな間抜けな声が出てきますよ。

え、何、ポケ○ンの話?

てか、これって答えるべきなの?

まあ、ダリウスの態度を見る限りでは、拒否権は無さそうだしなあ・・・。

答えないと、こっちの質問も受け付けてくれないだろうしなあ。

んじゃ、ここは私がポケ○ンのゲームの中で、一番好きなキャラのタイプにしよ。

ってことで選んだのが、

「火・・・かな。」

「ん、りょーかい。」

よし、答えた。じゃあ、今度はこっちの質問に答えてもらおう。拒否権などないっ。

「それで、結局は『力を貸す』って何し」

「じゃあ、契約完了ってことで。まあ、復讐頑張って。」

そう淡々と告げると、ダリウスは無愛想に契約書の様なものを破く。

そして破った契約書を一つのテディベアの額に貼りつけた。

そのテディベアを一方的に私に押し付け、窓の鍵を開けた。

って、おいっ!!?なに、帰る気してんだ!

この野郎・・・、私の話を、

「聞けっつーのおおおおおお!!」

私がそう叫ぶと、ダリウスはゆっくりと振り返る。

「ねえ、なんで暴力とか暴言って嫌って思うか分かる?」

「っはあ?」

答えるまもなくダリウスは続ける。

「それは、『感情』があるから。僕はね、感情が無い方が楽だと思うんだよね。まあ、ましては、感情が無ければ楽とも思わないんだけどさ。」

私には答える気力がなかった。

黙ってこのマイペース野郎の話を聞いとこうと思った。

「だからさ、いくら僕が君に不思議な力を与えても、いくら僕が君に戦闘機を与えても、攻撃された時に君が痛いなんて思ってたら、復讐の時に一番邪魔になるでしょ?」




「そこで、聞くけど。」




「条件付きで、『感情』を消してあげようか。」




一気に話し終えると、ダリウスはいやらしく笑った。

私は、椅子に座ったまま呆然とダリウスを見つめた。



私の平穏だった日常は終わりを告げる。

この男とテディベアによって。

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