何これ可愛い!
次に目が覚めたらそこは何も無い部屋でした。
家具も、窓も、それこそ出入り口すら何も無い部屋です。 でも不思議と暗くは無いんですよね。
でも突然そんな部屋で目覚めても不安や恐怖はほとんどありません。 全く無いとも言えないのですけどね。
なぜ不安が無いかと言えば、それは目の前に私の愛猫“ミーア”が居るからなのです。
それにさっきまで頭に掛かってたモヤがスッキリ晴れて自分が誰かも、そして私の人生はもう幕を閉じちゃった事もハッキリと思い出しました。
今がどう言う状況なのかは分からないのだけれど、死んじゃった人とミーアが一緒に居たらまずそうなのでちょっとお話してみます。
「ミーア、どうしたの? お母さんの所に帰らないと心配するよ_?」
私の可愛いミーア、耳の先と尻尾の先だけ真っ白い黒猫のミーア、賢い様でいていつも失敗するミーア、悪戯好きでドジっ子なミーア、そんなミーアがいつもの様に「ニャーン」と一言返事をしてくれます。
でも、次の瞬間私は一瞬何がおこったのか理解出来ませんでした。 なぜならミーアが鳴いた次の瞬間そこには猫耳と二本の尻尾が付いた私と同い年位の可愛い女の子が立っていたのです。
しかもその可愛い子は人懐っこい笑顔で笑いながら私に話掛けてくるじゃーありませんか!
「ニャーニャーニャー、ごしゅじんさま!」
ご主人ってどちら様の事!!? って言うかこの子がどちら様なの!?
「にゃれ?ごしゅじんさま、どうかしたのかにゃ? あ、もしかしてわにゃしが誰か分からにゃいのかにゃ? わにゃしはミーアだよん! ふふーん、驚いちゃ?驚いちゃ?にゃっはっは!」
え、ええーー!!? この子がミーアなの? 猫って人になれるの? あ、猫又ならなれるか、うん。 って違うよ!
「み、ミーア?」
「はいにゃ!」
「ミーア!ミーアなのね!」
「はいはいなのにゃ!」
か、可愛い! 何これもの凄く可愛いんですけど! もう猫が人に化けれるかどうかなんてどうでも良いや!!
私は早々にそう結論付けてミーアの元に駆け寄って抱きしめたり撫でたりする事にします。
「ごろごろごろごろ…………は! 違うにゃごしゅじんさま! 時間が無いんのにゃ。 色々説明する事があるんにゃ」
膝の上でごろごろ言いながら頭を撫でさせてくれてたミーアが突然立ち上がります。時間が無いってどう言う事なのかな?
「どうしたの?」
「はいにゃ、ここにごしゅじんさまを呼んでられる時間がもうしゅぐおわっちゃうのにゃ」
うーん、残念。 猫耳少女のミーアも可愛くてもっと一緒に居たかったのに、でも死んじゃってる私とずっと一緒に居られる訳無いもんね。
「にゃから全部説明しちゃうにぇ」
キリッと真面目な顔つきで私の手を取り話しはじめます。 真面目な顔も可愛い。
「ふっふーん! こしゅじんさまが死んじゃう時に言ったおにぇがい、このにゃい妖怪のミーア、しっかりきっちりきゃんぺきに守ったのにゃ!」
へー、死んだときに。 あ、私やっぱり死んじゃってるのね。 って、私死んじゃう時に何かお願いしたんだったかな?
「と言うかミーアって大妖怪だったの!?」
「にゃっはっは! そうなのにゃ! (実はまにゃ駆け出しのペーペー……。) ってそれは今はいいのにゃ! わにゃしはごしゅじんさまの『次も一緒になりたい』っておにぇがいを守るべくがんばったのにゃ」
え? うん、そう言えばそれに近い事は言ったような気がする。
「にゃけど死んにゃ人を生き返らせるにょは大変にゃったのにゃ。 そのままにゃと妖力が全然足りなかったのにゃ。 でもわにゃしはひらめいたのにゃ! 実は人を生き返らせる為に必要なきょすとって世界ごとに違うのにゃ!」
「え? ちょちょちょっと待って! 世界毎って……世界って何個もあるの!?」
あんまりにも聞き捨てならない事を聞いた気がするので、身振り手振りに何を表してるのか分からないジェスチャーをしながら懸命に説明してくれてるミーアにたまらず質問してしまいます。
「一杯あるにゃ! にゃからわにゃしとごしゅじんさまの体を全部妖力に変換して別の世界に転生したにゃ! にゃけどごめんにゃさい、別の世界に渡るにょも力を使うにょにゃけど、にゃかにゃか良い世界がにゃくて点々としてるうちに妖力が減っちゃって、せっかく良い世界を見つけにゃのに力が足りなくにゃっちゃったにょにゃ」
ミーアはそこで一度申し訳無さそうに目を伏せました。 でも私は正直言うとまだ何を言われてるのか理解が追い付いて無いので反応出来ずにいます。
「あ、ごしゅじんさま。 わにゃしのこの姿は好きですかにゃ?」
そんな私の戸惑いも何のその、ミーアが私に質問をしてきました。
「え、ええ。 凄く可愛いと思うよ」
「にゃら良かったにゃ! わにゃしはここでもすっごい事をまたひらめいたにゃ! 二人分にたりにゃいにゃら一人に纏めてしみゃえばいいのにゃと! って事にゃので新しい世界でこれからも一緒に遊ぶのにゃー!」
「ど、どう言う事なの!? 全然理解が追い付かないんだけどー!!」
もうパニックになりそうです! ミーアが妖怪で世界が変わって私が生き返って二人分に足りないから纏めてこれから遊ぶって………………どう言う事?
「にゃっはっは! 猫より人の方が器が大きいからごしゅじんさまへわにゃしを混ぜたから姿はごしゅじんさまに近いけど性格も知識も完全に混ざっちゃうからその辺り宜しくなのにゃ! ちなみに姿は今まさにごしゅじんさまが見てるわにゃしにゃよ」
「ええー!? 混ざるって良く分らないよー。 っていうか私とミーアが混ざった姿にさっきから私“可愛い可愛い”って言ってた気が……うわー! ナルシストになっちゃってる! 恥ずかしい!」
「にゃーごしゅじんさま、そろそろ時間なのにゃ。 記憶とかも魂の融合が落ち着いたらじょじょに戻ってくるから心配しなくても大丈夫にゃ。 これはいっぺんに二人分の記憶が入っちゃうと二つの人格が同時に出ちゃって廃人ににゃっちゃうからなのにゃ。 じゃあいざ新世界へGOなのにゃ!」
そう言ってミーアがまたまた満面の笑顔で宣言します。 それと同時にじょじょに意識も遠のき始めました。
まだ全然状況が理解出来てないのにね。 でもこのサッパリ分からない中でも分かった事が一つだけあります。 そしてそれは泣きたくなるほどに嬉しい事なのでなんとしてでも言わなければと遠のき始めた意識に逆らい、笑顔のミーアに伝えます。
「ミーア! 私の為にありがとう!」
だけど勘違いしてるよ! の、言葉はギリギリ飲み込みましたけどね。
だってあの時の私は、ミーアにはミーアの天寿を全うして貰って、その後に来世でもまた一緒になれたら良いねって伝えたかっただけなんだ。
やっぱりミーアは賢いけど、どうしようも無い程ドジっ子で、…………そして優しい子です。
そんな事を思いながら、また私は意識を手放して行くのでした。
と、こう言う話を書きたいのです!
三話目まではプロローグなのですが、全然のほほんともしてないし異世界らしさも出てませんね。(汗)