しっぽが痛いよ!
鳥の鳴き声が聞こえます。 風が吹いて木々の葉が擦れる音も良く聞こえます。
ここは森の中なのかな? あ、魚が跳ねた音も聞こえた。水場も近いみたい。
今は仰向けに寝っ転がってるみたい。 お尻の下でしっぽが折れ曲がっててちょっと痛い。
しっぽがくの字型に曲がったままその上に寝てるらしい、それじゃぁ痛くて当然だよね。
仕方無いので眠い目を開けて起き上がる、やっぱり森の中だ。そのまま立ち上がって自慢のしっぽを手で擦り曲がっちゃってた所の毛並みを整えます。
「うー、痛かった。寝癖付いてないよね………あれ?」
そう言えば何か凄い違和感が……。 でも頭にもやがかかったみたいでよくわからないです。
う〜むむ……。
「あれれれ? ここ何処!? って言うか自慢のしっぽって何!!? 私何してたんだっけ!?」
な、何かおかしいです。 なんで普通にしっぽがある事を不思議に思わなかったんだろう。 それにこの森、何処なんだろう。
と、とりあえず落ち着いて考えてみよう。
えっと、しっぽ? 黒いサラサラした毛並みのしっぽが付いてる、しかも二本も!
うーん、私ってしっぽなんてあったっけかな?
ちょっとしっぽに力を入れてみたらピコピコ動いた。やっぱり自分のしっぽらしい。
それに片っぽのしっぽはつけねから先っぽまで真っ黒なんだけど、もう一本の方は先っぽだけ白いです。靴下模様って言うのかな? しっぽだけどね。
…………………。
いやいやいや、無いですよ! 何だか記憶がアヤフヤに感じるけどしっぽは絶対ついて無かったよ。
よし! 素数! 素数を数えて落ち着こう。 1、2、3、4……間違えた! 5、7、9……間違えた!
よし、落ち着いた!
「・・・・・」
「・・・」
ん? 何だか遠くで人の声がしたきがする。 見回してみても人影は見えません。 この森は雑木林みたいな感じでわりかし視界は開けてるんですけどね。
う~ん、良く聞こえないな~……、あっちかな? 頭に付いてるサラサラふさふさした毛の耳をピコっと音の方向にむけます。
「うん、良く聞こえる。 誰かがキャンプでもしながら談笑してるみたいね~…………あ……」
またです! また無意識に耳を音のする方向に向けましたけど、普通に人の耳って動かなかった気がするよ!!
おそるおそる顔の横、耳があるはずの場所を手で触ってみます。 “さわさわさわさわ”うん、耳が無いよ! 次に頭に手を伸ばしてみます。
!!?
かわりに頭に耳がありますよ!? 自分の耳なのに……あまりのさわり心地の良さにびっくりするよ! さすが私の耳! いや違うから!
にしても……そう言えばすごく良く耳聞こえるもんね。 目で見ても見えない位離れてる人の雑談なんて普段の私なら聞こえないもん。
………………あれ? 普段の私って何だろう。 そう言えば私って名前なんだろう!?
私は名前という基本的な事も思い出せない事に驚いて、ちょっとパニックになります。 素数数えて落ち着いたばっかりなのにね。
またまたちょっと落ち着いてから、急いで何か名前が分かる持ち物が無いかとポケットをあさります。
あ、ちなみに服装はちょっと長めのグレーのチェニックにハーフのジーパンっていう動きやすそうな服装です。 買った覚えないけども、地味ですね……。
ま、まあ地味なのは置いといて、その服のポケットを調べたら一枚のメモが出て来ました。 他にめぼしい物無かったしメモを開いてみます。
!!!?
メモを見た瞬間、何とも言えない様なすごいショックを受けて“パタリ”と意識を失って倒れてしまいました。
……目が覚めたばっかりなのにね。