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廃墟
潮の香りがする河畔に
その廃墟はぽつんと立っている
周りを柵で囲まれ
青々とした芝が生い茂っている
六十年以上前のある夏の日
突然の熱の矢と毒の槍と地獄の風を受けて
煉瓦は崩れ鉄骨が飛び出してさえ
まだ形を保っている
蝉が叫んでいる
幾万の願いと無念とが染み込んだ土の上で
人々が笑っている
雀が遊んでいる
その横で静かに廃墟は佇む
鐘の音が響き渡る
彼はもう何年生きてきた
河畔に佇み
どれほどの歴史を見てきた
立派な様相で生まれ
地獄をくぐり抜け
いまや支柱が備えられた体になってさえ
まだ生きている
己の背負った使命を
果たさんとしている
ああ、いつになれば
彼は荷を下ろせるのだろう・・・?