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第九十四話 ある日記の暗号を解読する理由 その2

 外にはカオル・タイラがいる!


 どうする!?居留守を続けるか!?


 いや、かえってチャンスかも知れない!


 カオルをこの家の中に入れてしまおう!


「はーい!います!お客様!ちょっと待っててください!」


 私は風呂場に飛び込むと服を着替えた。


 玄関のドアを開けた。


 外には学園の女子用制服を着たカオルがいた。


 しかし、男のクセに本当に女装が似合うヤツだ!


 客観的に見ると「可愛らしい美少女」にしか見えない。


 だが、学園長の監禁にコイツも関わっているに違いない!


 憎むべきヤツだ!


 だが、私はほがらかに応対した。


「ごめんなさい。シャワーを浴びていたところだったの。それで可愛らしいお嬢さんは私に何の仕事の依頼かしら?」


 私は表向きは個人での通訳・翻訳の仕事をしている。


 私の裏の仕事のカモフラージュとして最適だからだ。


「あ、あの失礼しました。お姉さんが着替えるまで外で待っています」


 ふふっ、カオルは顔を真っ赤にしている。


 私はバスローブ一枚をまとっただけの姿だ。


 バスローブからはみ出る私の豊かな胸の谷間にカオルの視線が向いているのが分かる。


 使い古された手だが男どもを惑わすに有効だと私は実体験から分かっている。


「構わないわ。入ってちょうだい」


 応接間にカオルを通した。


「それで、可愛らしい女子生徒さんは私に何の御用なのかしら?『本日臨時休業』の札を出しておいたのに来たということは急ぎのお仕事かしら?」


「あの……お仕事の話をする前に、お姉さん服を着ませんか?」


 私はバスローブのままだ。


「このままで構わないわ。女同士ですもの。さあ、そこに座ってちょうだい」


 カオルはソファーに座った。


 テーブルを挟んで向かいのソファーに私も座った。


 私は両足を組んだ。


 バスローブから伸びる私の生足にカオルの視線を感じる。


 やはり、ヤツも男だな。


 こうやって心理的に優位を採ろう!


「それで、女子生徒さん。お名前は?」


「はい、カオル・タイラです」


「では、『カオルさん』と呼ぶことにするわ。それでカオルさん。私に何の御用なのかしら?」


「はい、仕事の依頼です」


「通訳かしら?翻訳かしら?」


「うーん。どちらとも言えないですね」


「どういうことなの?」


「ちょっと長い話になるんですけど、いいでしょうか?」


「構わないわ」


「私と友人たち数人で最近お客様の世話をしているんです。そのお客様は長期滞在になりそうなんですが、食事とかの細かい好みが分からないので困っているんです」


 えっ!?


 カオルの言葉の「お客様」とは「学園長」のことなの!?

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