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第七十八話 カオルたちが隣の個室に移動した理由 その20

「私が何故ここにいるのかですか?学園長に用事ができたのでここに来たのです」


 カオルは淡々と答えた。

 

 それに対して魔導師は少しイラついた。


「そういう意味じゃない! 私が盗聴しているあの部屋にいるはずのカオルが何故ここにいるのだといことだ!? ……愚問だな。私が盗聴しているのを知っていれば音声だけならいくらでも誤魔化ようはある。それで繰り返しの質問になるが、学園長はどうなさったのだ?」


「私の師匠とそのご友人二名が学園長にお話があるそうで、師匠のところに行ってもらいました。ご安心ください。護衛はちゃんとついてますから」


 もちろん、魔導師はカオルの言葉をそのまま受け取ったりはせずに裏の意味を考えた。


(学園長は大賢者さまのところに連行されたということか)


 魔導師は魔法で建物の周辺を探知した。


(学園長の反応が無い! 馬鹿な! 拉致に備えて学園長には魔法の位置情報発信器を身につけているはず……愚問だったな。そんな物はすぐ発見され破壊されてしまったに違いない)


 探知の魔法の出力を上げた。


(学園長を連行するには馬車が必要……あった! 周囲にある馬車は一台だけ! ……これは……荷馬車? そうか! 学園長を気絶させて荷物に偽装して運んでいるのだな!)


 魔導師はカオルに目を向けた。


(学園長を救出に向かうには、カオルを倒してからでなければ背後から追撃されるだろう! だが、一撃で私にカオルを倒せるのか?)


 悩んでいる魔導師に対してカオルがのんびりした口調で言った。


「ああ、私の役目はこの別荘にあるだろう証拠品を探すことです。あなたが学園長を追いかけても私はなにも妨害しません。それは別の人の役目ですから」


 魔導師は一瞬迷うような表情を見せたが、すぐに窓から外に飛び出した。


 カオルは窓に近づいて外を見た。


 魔導師は全力疾走する馬のような速さで去って行くところであった。


 魔導師の姿が完全に見えなくなってからカオルは大きく息を吐いた。


「ふー、怖かったよー! 師匠も無茶を言うよ!師匠の調査でも名前が分からなかった学園長の秘密の秘書兼護衛と1対1で対峙しろだなんて!」


 カオルはぶつぶつと文句を言いながら部屋の隅にあるクローゼットに向かった。


 クローゼットを開けると中には気絶している学園長がいた。


「あの魔導師さんが家の中を魔力で探知していれば、クローゼットの中にいるとすぐ分かったのでしょうが、家の中にいるとは思われないように言葉で誘導しましたからね。さて、学園長。師匠たちのところに御案内いたします」

令和二年初投稿となります。


今年もよろしくお願いいたします。

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