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第七十五話 カオルたちが隣の個室に移動した理由 その17

「セオドアおじ様が選んだ思いきった方法とは何ですか?」


 エレノアの質問に大統領は答えた。


「セオドアさんは、汚職をしていた先輩議員の不正の証拠をすべて調べあげて、連邦捜査局に提出したんだ」


「それは普通のことなのでは?連邦捜査局には例え現職の大統領に関することであっても捜査する権限がありますもの」


「確かに連邦捜査局には巨大な権限が与えられている。だが、当時は連邦捜査局は設立したばかりで、州警察の方が実質的な権限は強かった。だが、州警察は政治家に対する捜査は苦手で、大物政治家の圧力で握りつぶされる可能性の方が高かった。先輩議員の不正をセオドアさんのやったことにされることだってありえた。だから、セオドアさんは連邦捜査局に対してこのことを取引の材料に使ったんだ」


「取引?それは、どのようなことだったのですか?」


「セオドアさんは汚職の証拠をすべて提出するが、連邦捜査局は先輩議員に対して捜査はしないし、逮捕もしないということだ」


「そんなことが可能なのですか?」


「普通のやり方ではもちろん不可能だ。セオドアさんのやり方はこうだった。自分が政治家たちの内部の情報を定期的に連邦捜査局に伝えることを提案したんだ」


「えっ!それって……セオドアおじ様が連邦捜査局の情報提供者に……ありていに言えばスパイになったということですよね?」


「その通りだ」


「何で、セオドアおじ様はそんなことを……ああ、分かりました。自分がスパイになることで連邦捜査局にとっては貴重な情報源となるわけですから逮捕をまぬがれるわけですね」


「そうだね。エレノアさん。そこに考えがいたるとは君は優秀だね」


「お誉めにあずかり光栄です。でも、それではセオドアおじ様は連邦捜査局に使われるだけの弱い立場に……ああ、そういうことですね。連邦捜査局に提供者する情報をコントロールすることで、主導権を握り優位を得たのですね」


「その通りだ。エレノアさん。本当に君は優秀だね」


「でも、それって、政治家の皆さんから見たら『裏切り』になりませんか?」


「もちろん、だとも、セオドアさんは長い間それに気づかれないように注意してきた。私も長い間気づかなかった」


「そうだとすると……セオドアおじ様が連邦捜査局のスパイだと、気づかれたのは学園長に就任する少し前ですね?と言うよりスパイであることがバレたので学園長になることになったのですね?」


「そうだよ。その頃は、セオドアさんは政界に大きな影響力を持っていて、下手に触れられない存在になっていた」

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