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第七十四話 カオルたちが隣の個室に移動した理由 その16

「ですが、大統領閣下。裏方仕事も重要なのでしょう?」


 エレノアの質問に大統領は答えた。


「もちろん、その通りだ。どんな仕事でも裏方は必要だし、裏方無しでは仕事その物が成立しない。だが、どんな仕事でも裏方より表舞台の方が華やかだし、一般の人たちには目立つ方が注目されがちだ。特に選挙は『人気投票』みたいなところがある。その人の能力や実績より、強烈なキャラクターの方が注目される傾向がある」


 エレノアはうなづいた。


「確かに、最近の選挙では舞台俳優やスポーツ選手出身の人が選挙に出て当選することも多くなっていますね。その人たちに政治家としての才能が無いとは言いませんが、市民からはキャラクターに注目されて投票されていますね」


「確かに、そうだね」


 大統領に対してエレノアは冗談めかして言った。


「その内、連邦大統領に舞台俳優やスポーツ選手出身の人が知名度だけで当選するようになるかもしれませんよ?」


 大統領は下手な冗談を聞いた時のように笑った。


「いくらなんでも、そういうことはないだろう。そういう状況が進めば過激な発言だけで人気を得て、市長も州知事も連邦議会議員の経験の無い人が大統領に当選してしまうなんてこともありえることになる」


「もちろん、そうですよね」


 微笑みを返したエレノアに対して大統領は少し真面目な顔になった。


「さて、エレノアさん。話を戻すが、連邦議会議員になった新人議員は誰でも最初は裏方仕事から始める。だから、セオドアさんも裏方仕事から始めたのは普通のことだった。数年、先輩議員の手伝いなどをして、議員としての仕事を覚えて経験を積んで、新人議員から中堅議員・ベテラン議員と段階を上げて行くのが政治家としての普通の道だ。これは連邦の政治家について少しでも興味ある者なら当然知っている知識だ。エレノアさんも知っているね?」


「はい、もちろんです」


「セオドアさんは初当選した時に、ある先輩議員の手伝いとして政治家としての道を歩み始めたらのだが、その先輩議員が悪かった」


「悪かったとは、何がですか?」


「その先輩議員は裏金による不正……、簡単に言えば、ある企業から賄賂を受け取って便宜を図っていたんだ」


「ええっ!?で、でも!セオドアおじ様が賄賂を受け取ったなんて聞いたことありませんよ!?」


「もちろん、セオドアさんは関わっていない。その先輩議員だけの犯罪だ。だが、一歩間違うとセオドアさんも疑惑をかけられて議員を辞めなければならなくなる状況だった。それを解決するためにセオドアさんは思い切った手段を選んだ」

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