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第七十一話 カオルたちが隣の個室に移動した理由 その13

 大統領の口から出された言葉が耳に入ったエレノアは、その言葉は理解したが、その意味を脳内で処理できなかった。


「えっ!?あー、えー、そのー」


 意味になってない言葉を口に出すエレノアを見て大統領は口を再び開いた。


「エレノアさんが混乱するのも無理はない。今は一般常識として社会的に高い地位にあり尊敬されている大陸中央学園の学園長が『左遷される地位だった』と聞くのは、 それに憧れを持っているお嬢さんにはさぞかしショック……」


「ああ!そういうことなんですね!分かりました!」


 エレノアは自分が思わず少し大きな声を出してしまったことに気づいて、大統領に向けて頭を下げた。


「すいません。大統領閣下。お話の途中なのに遮るようなことをしてしまいました」


「い、いや、構わんよ。それで何が分かったのかね?」


「はい、この学園に入学したばかりのことです。カオルさんたちと勉強会をした時のことを思い出しました」


「ふむ、それで?」


「大陸の歴史について勉強していたのですが、大賢者様の蔵書を読んだことのあるカオルさんは、大陸生まれの私たちより知識については豊富でした」


「ふむ、ふむ」


「それで、カオルさんから一度私たちに質問されたことがあるんです。『この学園の学園長は何で大陸で政治的に高い地位にあるんですか?』とです」


「ふむ、なるほど」


「私たちは驚きました。子供の頃から『大陸中央学園の学園長は偉い』というのは当たり前でしたから。そして言われて見れば『何でなんだろう?』と初めてカオルさんと同じ疑問を持ちました」


「ふむ、どう思ったのかね?」


「確かに、この学園は連邦・帝国双方に認められた中立地帯で、独自の警察や軍隊まで持っていますが、学園長の地位そのものは悪く言えば『単なる管理人』にすぎません。それなのに高い地位とされています。それが何故かの理由を学園図書館で調べましたが結局分かりませんでした。ですが、今、大統領閣下から『左遷される地位だった』と聞いて分かりました。表向きは高い地位にして、連邦や帝国で出世競争や派閥争いで敗れた政治家の最後の晴れ舞台にするためだったのですね?」


「エレノアさん。その通りだ。実際に、この学園が創立されて数代の学園長は、連邦・帝国で政争に敗れた政治家で実権は無いが名誉は高い地位とされた学園長にすることで落ち着き先としたのだ」


「ですが、大統領閣下。今は本当に学園長は高い地位とされています。それは何故でしょうか?」

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