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第七十話 カオルたちが隣の個室に移動した理由 その12

「さて、我が連邦において『政治家になる』ということは具体的にどういうことか分かるかね?エレノアさん」


 大統領の質問にエレノアは答えた。


「はい、普通は市や州などの地方議会議員になることから始めて、そこで経験を積んで、市長や州知事、連邦議会議員になったり、閣僚になったりします」


「うん、そうだね。大部分の政治家はそのコースを通ることになる。もちろん、例外はある。それは何だか分かるかね?エレノアさん」


「はい、外務長官などの閣僚の場合、連邦議会議員でなくともなることができます。大統領による指名だけでなく連邦議会による承認も必要ですが」


「その通り、それと、大統領になるのに一番有名なコースは何かな?」


「もちろん、この大陸中央学園の学園長になることです。この学園は普通の学園ではなく、独自の警察や軍隊まで持つ『国家』であり、連邦・帝国双方にとって重要な中立地帯ですから、学園長は重要な地位です。過去には学園長から連邦大統領になった人が何人もいます」


「うん、それで表向きは間違っていない。だが、一部の人間しか知らない『裏の事情』というモノがある」


「『裏の事情』?それは何ですか?」


 エレノアの質問に対して大統領は真剣な表情になった。


「エレノアさん、『裏の事情』を本当に知りたいかね?」


「何か、私が知ってしまうと良くないことなのでしょうか?」


「うん、ある意味そうだね。エレノアさん、君は『政治家』という存在に対して『夢』『憧れ』『理想』と言うべきモノを持っているように思える。『裏の事情』を知ってしまうと幻滅してしまい。君の『女性初の連邦大統領になる』という夢を失ってしまうかもしれないと思うんだ」


 大統領がますます真剣な表情でエレノアを見つめるのに対して、エレノアの口から出た言葉は……。


「やっぱり!可愛い!」


「えっ!?」


 予想外の言葉に大統領は戸惑った。


 大統領の戸惑いを無視するかのようにエレノアは言葉を次々と出した。


「いいですよ!いいですよ!その『おじいちゃんが孫を見守るような表情』!なのに『見た目は私より年下の美少女』!ああ!本当に可愛い!大統領閣下!ちょっとでいいので、抱き締めさせてくれませんか!?」


 エレノアの勢いに大統領は少し引きながら答えた。


「抱き締められるのは遠慮させてもらうよ。話を戻すよ。それだけ元気ならエレノアさんは『裏の事情』を知ったとしても大丈夫そうだね。では言うよ」


 大統領はいったん言葉を切ってから口を開いた。


「元々は、この学園の学園長の地位は左遷される先だったんだ」

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