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第六十二話 カオルたちが隣の個室に移動した理由 その4

「じゃあ、話すわよ。サリオンさん」


「ほ、本当に話しちゃうんですか?アンさん」


「いいじゃない、話さなければ、あたしたちの中でカオルさんだけが、あなたの『可愛らしい』ところを知らないことになるのよ?それじゃあ、カオルさんのことを『仲間外れ』にしているみたいじゃない?」


「確かに、そうですね。話してください」


カオルはますます不思議に思った。


アンがサリオンに対して完全に主導権を握っているような感じになっているからだ。


その理由は、アンの話を聞いたら明らかになった。






それじゃあ、話すね。カオルさん。


駅前広場での歓迎式典の時……、カオルさんが皇帝陛下と大統領閣下に花束贈呈をした時、あたしたちはカオルさんとは少し離れた場所で待機していたわ。


そこでカオルさんたちが倒れたのよ。


あたしも周りも騒然となって、カオルさんたちが救急馬車で病院に搬送されるのをただ見ていることしかできなかったわ。


あたしはパニックになっちゃって、何をどうしたらよいか分からずに呆然としていたわ。


ユリアさんとエレノアさんもあたしと似たような状態になっていたわ。


でも、サリオンさんだけは違っていたの。


えっ?サリオンさん。やっぱり、話されるの恥ずかしい?


いいじゃないの、カオルさんは笑ったりしないわよ。


うん、じゃあ、続けるわよ。


サリオンさんは泣き出したのよ。


まるで、親からはぐれて迷子になった小さな子供みたいに。


その大きな体にが急に小さくなってしまったように、あたしには見えたわ。


サリオンさんが泣きじゃくる姿を見て、あたしは冷静になれたの。


周りには大勢の人たちがいたけど、騒然としていたからサリオンさんが泣いているのは誰にも気づかれてはいないみたいだったわ。


とにかく人目に付かない所に、サリオンさんを連れて行ったわ。


えっ!?


ユリアさん、エレノアさん、あたしが素早く行動できたことに感謝しているの!?


いいえ、あの時は泣きじゃくるサリオンさんが本当に小さな子供みたいで何とかしてあげなきゃと思っただけだから……。


えっ!?


ユリアさん、「ボクたちは呆然としてしまって何も判断することも何か行動することもできなかった」ですって!?


でも、行動できたあたしを「尊敬する」ですって!?


そんな!女子生徒のみさなんの憧れの的であるユリアさんに尊敬されるなんて!


お友達でいられるだけでも嬉しいのに、そんなことを言われたら嬉し過ぎて怖いくらい……。


……話が少し脱線してしまいましたね。


サリオンさんのことに話を戻しますね。

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