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第五十八話 カオル・大賢者・皇帝・大統領が同じ部屋にいる理由 その5

「ちょっと!ちょっと!何をするのだね!私たちのケーキを食べてしまうなんて!」


「そうだ!余たちに喧嘩を売るつもりか!?」


大統領と皇帝の抗議にカオルは何も反応せずに口の中に詰め込んだケーキをゆっくりと噛んだ。


カオルがケーキを噛んでいる間も大統領と皇帝は抗議を続けたが、カオルは何も反応せずにケーキを噛み続けていた。


カオルは数分かけてゆっくりとケーキを噛み終えると、さらにティーカップのお茶をゆっくりと飲み干した。


そして、空になったティーカップをゆっくりとテーブルに置いた。


「落ち着かれましたか?皇帝陛下、大統領閣下」


皇帝と大統領の二人はうなづいた。


「ところで、カオルさん、私たちのケーキを食べてしまったことについては、どう謝罪と賠償をするつもりなのですか?」


「大統領閣下、わたしが謝罪と賠償をしなければならないことは何ですか?」


「しらばくれるな!まず謝罪をすべきだろう!」


皇帝が少し怒りを滲ませた声を出した。


だが、カオルは冷静に対処した。


「もう、お二人のケーキは、わたしの胃袋の中です。返すことはできません。それで、どうしろと言うんですか?」


「ならば、代わりの物を用意すべきでしょう」


「そうだ。余も大統領と同意見だ」


「分かりました。大統領閣下、皇帝陛下」


カオルは個人から出ると、店員にケーキを新たに注文した。


「これで、問題はすべて解決ですね?皇帝陛下と大統領閣下が、どう分けるかで争っていたケーキは、わたしが食べてしまいましたし、代わりのケーキ用意することで大統領閣下と皇帝陛下には納得していただきました」


カオルは表向きは冷静でいたが「皇帝と大統領が怒り出したら、どうしよう?」と内心では悩んでいた。


しかし、皇帝と大統領は二人とも笑顔になると、カオルに向けて軽く拍手をした。


「うむ、なかなかの解決策だと余は思うぞ」


「はい、私もそう思います。大統領として私たちの『計画』を安心してカオルさんに任せることができます」


カオルには、これが「試験」だったと分かった。


「みなさん、とにかく早く食べてしまいましょう。隣の部屋の人たちをいつまでも待たせておくのは気の毒ですから」






ケーキを食べ終えると、カオルたちは隣の個室に向かった。


カオルがノックをして部屋の中に声をかけると、中からドアが即座に開いて、何かが飛び出してきた。


飛び出してきた何かは、カオルを包み込むように抱き締めた。


「カオルさん!カオルさん!無事だったのね!」


カオルの顔に豊満な胸を押しつけているのは、エレノア・フランクリンであった。

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