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第五十六話 カオル・大賢者・皇帝・大統領が同じ部屋にいる理由 その3

「余も大統領閣下と同じ意見だ。すぐにちょうど半分にしてくれ」


さらに皇帝も大統領と同じ要望をしてきた。


大陸の二大超大国の国家元首二人からの無茶ぶりにカオルはさらに困惑した。


だが、カオルの頭の一部は冷静に過去の記憶を思い出していた。


(えーと、これと似たような状況の解決方法を師匠の蔵書で読んだことがあったな。よし!それを参考にしよう!)


「大統領閣下、このケーキがちょうど半分だと思うところにナイフで切ってください」


カオルの言うとおりに大統領はナイフでケーキを切った。


「それでは皇帝陛下、二つに分かれたケーキの好きな方を陛下の物にしてください」


皇帝が二つに分かれたケーキの一つを手にした。


「皿に残った方が大統領閣下のケーキです。これでちょうど半分に分けられましたね。問題は解決です」


「ちょっと待った!カオルさん!」


カオルの言葉に大統領がツッコミを入れた。


「目分量だが、皇帝陛下のケーキの方が少し大きいように見える。これでは『ちょうど半分』とは言えないのではないか?」


「うむ。皇帝である余も大統領閣下の発言に同意する。確かに余の方が少し大きいほうだ」


「皇帝陛下は『自分の方が大きくてラッキー!』とか思われないのですか?」


「余は『ちょうど半分』を望んだのだ。少しケーキが大きいぐらいで喜ぶような卑しいことは思わんよ」


「なるほど、そうなんですか」


(それにしては、皇帝陛下と大統領閣下がケーキ一つで争うなんて卑しいことをしているけど……)


「今ので『ちょうど半分』になった理由を説明しますけど、大統領閣下はご自身でちょうど半分になると思ったところでナイフで切り分けましたよね?」


「ああ、そうだ。目分量だから正確ではないだろうが……」


「そして、皇帝陛下は二つに切り分けられた一つを手にしましたよね?」


「ああ、そうだな」


「大統領閣下が『ちょうど半分』だと思ったところで、ナイフで二つに切り分けて、皇帝陛下がその片方を手に取ったら。実際の大きさがどうあれ大統領閣下には文句は無いはずです」


「なるほど、私が『ちょうど半分』と思ったところで切り分けて……」


大統領の言葉を皇帝が継いだ。


「……手に取った半分は余が選んだのだから余も文句は無いはずということだな?」


「その通りです」


カオルは二人が納得してくれたようでホッとしたが、まだ早かった。


「いや、いや、私は納得しないぞ」


「余も納得せん。確か昔読んだことのあるクイズの本にこういうことが書かれていたな。カオルくんは、それを参考にしたのだな?」


「はい、そうです」


「では、本で得た知識でなく、カオルさんが自分で考えて私たちを納得させてください」

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