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第百九話 カオルから結婚をすすめられている理由 その2

 あ、赤ちゃん!


 もちろん、欲しいと思ったことはある!


 当たり前だが赤ちゃんを私一人ではつくることはできない。


 相手の男性が必要だ。


 だが、私はたいていの若い男どもに幻滅している。


 適当な男と愛のない行為をして赤ちゃんだけを授かり、シングルマザーとして生きていくことを考えたこともある。


 だが、考えているうちに、それは私の理想とは違うと分かった。


 私の理想は「夫と子供とで幸せな家庭を築く」ことなのだ。


 頭の中の私の「理想の家庭」を想像したことはある。


 子供は私によく似た小さな女の子。


 夫として想像しているのが「学園長」なのだ!


 頭の中では数え切れないぐらい何度も「学園長との幸せな家庭生活」を想像したことがある。


 だが、もちろん、私の想像を誰にも話したことはないし、日記などにも書いたことはない。


 カオルの声が聞こえる。


「その反応から見ると、あなたは学園長と家庭を築くことを妄想……いや、妄想という言葉はちょっと失礼だな。言い換えます。想像したことがあるのですね?しかも頻繁に?」


 私は開き直った。


「そうだよ!その通りだ!だが、なぜ、分かる!?人が頭の中を覗き見できる魔法でも大賢者さまは開発したのか!?」


「師匠の話では人の脳で行われている思考や記憶を他人が読み取るのは今のところは不可能という話です」


「なら、なぜ分かる!?私は自分の想像を誰にも話したことはないし、日記などにも書いたことはない!」


「この本から推測しました」


 カオルは懐から本を出した。


 文庫本でかなり読み込まれているらしく表紙がぼろぼろだ。


 何だか見覚えがある……あっ!?


「見覚えがあるはずだ!私の本じゃないか!?」


「はい、あなたの家の寝室にあった本です」


「その本から何を推測したんだ!?」


「他の本は書斎の本棚にあり、ほとんどが政治・経済関連の専門書です。小説もありますがベストセラーになった本ばかりで、小説は会話の話題の種のために読んでいるのでしょう。ですが……」


 カオルは文庫本を掲げた。


「この本はベストセラーになったことはないし、作家もあまり有名ではない。そして、寝室に置いてあり、表紙がぼろぼろになるまで読み込まれてる。つまり、あなたは本当にこの本が好きで毎晩寝る前に読んでいるということになる」


 カオルの言うことは当たっている!


 その小説の内容は「親子ほど歳の離れた男性社長と女性秘書の恋愛物」だ。


 最後は二人は結婚してハッピーエンドになる。


 私の想像を補うために読んでいた。

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