表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カテゴリー  作者: 七賀ごふん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/38

#5



隣の人が動き出すと同時に前へ踏み出す。

しかし突如不愉快なクラクションが鳴り響き、目を開けてられないほどの光に襲われた。

車が急停止する音。青信号なのにどうして……と顔を上げた瞬間息を飲んだ。信号は赤だった。


重なったクラクションは大音量で警鐘を鳴らす。それなのに脚がすぐに動かず、頭が真っ白になった。大きな影が右手に降り掛かったときは流石に死を覚悟したが、後ろに引かれ、予想していたよりずっと軽い衝撃で道に倒れた。だが自分の上に乗りかかってきたものの体重で失神しそうになる。


「いた! 重っ」

「……何してるんですか!? 死ぬ気ですか!」


夜空を見上げている。その下に見えるのは、知らない青年の顔。というかかなり近い。知らない人間に馬乗りにされてる。

「死ぬ気なんてないよ」

「本当に? 持病とか持ってませんか?」

質問に戸惑ったが、それ以上にあることを疑われてると分かって羞恥心に襲われた。

彼は、自分を〝そっち〟側の人間だと勘違いしている。

起き上がると同時に彼の肩を押し、何とか距離をとった。

「俺はネガティブな人間じゃない!」

「誰もそんなこと言ってませんよ」

淡々と答えると、彼は立ち上がり自分から離れた。同じくスーツ姿の若い青年。自分より少し歳下かもしれない。

周りに小さな人集りができていたが、幸い青信号になったことで徐々に散って行った。それにしても不愉快極まりない。そして不可解だ。……自分が。

ネガティブな人間と思われたことを恥ずかしく思った。自分自身は彼らのことを卑下したことなどないのに。……助けに入ってくれた彼に対して憤ったことも後から恥じた。

「人が動いた気がして……青信号だと勘違いしただけなんだ。とりあえず大丈夫だから、俺はもういっ!!」

「い? ちょっと、大丈夫です?」

もう「行く」と言いたかったのだけど、実際には「痛い」の意味で叫んでしまった。立ち上がろうとしたものの、左足首に激痛が走って再び尻もちをつく。その際コンクリートに腰を強打した為ダブルで悶えた。


「やばい……これ絶対足捻った……」

「……」


船に打ち上げられた魚のように地面に伏せる。

さらにパワーアップした羞恥心にリンチされたような気分だ。

立て続けにアクシデントが起こり、挙句の果てに誰にも見せたことのない醜態を晒してしまった。


この最悪な夜が、影山一伊(かげやまかずい)との始まりだった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ