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カテゴリー  作者: 七賀ごふん


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24/38

#24



品場の指に絡ませるように、影山は掌を重ねた。

「さっき里川さんからこういうことを……いや、何か口にすると生々しいですね。ぎりぎりで逃げたんですけど、品場さんと触れ合ってたらまた思い出しちゃいました」

冗談めかした口調だったが、内容は笑えない。品場は深いため息をついて肩を落とした。

「本当に悪い。絶対担当外してもらうから。あれはただの変質者だって申告する」

「あはは、大丈夫ですよ。でも確かに、あの人充分ポジティブかも」

「そうだな。ネガティブなのは、逃げることしかできないって部分だけ。俺と同じで」

息が触れるほとの至近距離で、昏い心を吐き出した。それを吸った彼は……泣きたくなるほど明るく笑った。


「それ、俺もです」


否定も肯定も意味がないと思った。

きっとどちらの選択も正解じゃない。言葉は捨て去り、彼の唇を塞いだ。

「ん……っ」

突き飛ばされても殴られても文句は言えない。覚悟した上での行動だったが、影山は受け入れる体勢をとっていた。唇をただ押し付けただけなのに、全身がコントロールを失っていく。

少し離れて表情を窺うと、影山は何も言わず頷いた。


もう、その先のことは覚悟しているようだった。自分よりもずっと大きな何かを……彼は以前から持っていたんだ。


他のことなんて何も考えず、不安は全部捨ててほしい。せめて今だけは。


「影山……。大丈夫だから」

「……ん」


先ほどより強く抱き締める。互いの熱を確かめ合うように。


「品場さん、俺っ……貴方が好きです」


震える声を絞り出す影山に頷く。わずかに下が疼いたが、慌てて天井を見上げて雑念を払った。

薄青の蛍光灯。スマホの待ち受けの展望台の絵がまた脳裏に掠めた。




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